2003 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険非該当者が要介護状態に至る要因からみた介護予防の方法に関する縦断研究
Project/Area Number |
15790313
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Research Institution | Osaka Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
長野 聖 大阪府立看護大学医療技術短期大学部, 理学療法学科, 助手 (80353035)
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Keywords | 介護保険 / 介護予防 / 要介護 |
Research Abstract |
1.対象と方法 大阪府A市において平成15年3月までに介護認定を申請した者は2594名(のべ7298名)であった。対象は初回申請時に「非該当」と判定された者188名であり、分析の対象は期間内に2回以上申請した90名である。対象者の要介護度の変化は、「非該当・要支援」と「要介護1以上」に2区分し、それぞれの割合を求めた。また、介護認定基本調査85項目のうち身体・社会活動能力に関する項目を用い、能力が低下した者の割合について分析した。これら身体・社会活動能力が介護度の悪化に及ぼす影響は、多重ロジスティック回帰分析を用いて分析した。 2.結果と考察 要介護度の変化は、非該当を継続の者が5名(6%)、要支援が34名(38%)、要介護1以上が51名(56%)であった。次に、身体・社会活動能力について、能力が低下した者の割合が有意に高かった(p<.01)項目は、「寝返り」、「歩行」、「移乗」、「浴槽の出入り」、「排尿後の後始末」、「食事摂取」、「爪切り」、「衣服の着脱」、「靴下の着脱」、「日課の理解」、および問題行動の「実際にないものが見える」であった。また、多重ロジスティックモデルにより介護度の悪化に影響していた項目は、「歩行」、「浴槽の出入り」、「爪切り」の3項目であった。 本報告においては要介護1以上をリスクの発現と位置づけたが、以上の結果は要介護度が低い者に対する介護予防は、移動に関する動作を中心とした身体機能の改善に重点を置くべきことを示唆するものである。 3.次年度の研究計画 「非該当を継続の者」は全2594名のうち5名のみであり、申請時に計画した「非該当」をもとに要介護に至る要因を明らかにするために統計学的な分析を実施することが困難であった。次年度は要支援の者(1877名)に視点を置き、介護サービスの利用回数および要介護(要介護1以上)に至る時間要因も変数に加え、分析を進めていく。
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