2003 Fiscal Year Annual Research Report
DNA多型分析によるファクターH型判定法の開発と法医学的応用
Project/Area Number |
15790315
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
薄田 理恵 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (90283209)
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Keywords | ファクターH / 多型分析 / PCR-RFLP分析 / 個人識別 / 親子鑑定 / 法医学 |
Research Abstract |
ヒトH因子(fH)は補体系を制御する蛋白質であり、その遺伝的多型は4つの血清蛋白型、A型、B型、AB型、O型として分けられ、法医学では個人識別や親子鑑定に利用されてきた。しかし、これらの血清蛋白型を規定しているfH遺伝子の塩基置換についてはまだ解明されていない。そこで本研究では血清蛋白型とは別にfH遺伝子中の塩基置換をPCR-RFLP分析法により簡便に検出でき、個人識別に利用可能な多型解析法の開発を行った。 本年度の研究実績:血清の等電点電気泳動により、fH血清蛋白型がA型、B型、AB型、O型と確定している血液を試料とし、これらの血液から抽出したRNAをもとにRT-PCR法によりfH翻訳領域3.8kbのcDNAを合成し、全塩基配列を決定した。得られた各血清蛋白型の塩基配列とすでに報告のある1つのcDNA塩基配列を比較し、4つの塩基置換部位を見出した。このうち、2つはGからAへの置換、1つはAからGへの置換であった。もう1つはGからTへの置換であり、この部位では変異により制限酵素部位の消失が見られた。そこで他の3つの塩基置換についてもPCR-RFLP法で簡便に検出できるように各PCRプライマー配列中の塩基を改変した。このようにして本年度は合計4組のPCRプライマーを用いて、本研究で明らかにした4種類の塩基置換の有無をゲノムDNAを材料にPCR-RFLP法により検出する方法を確立した。現在、この方法を使って血縁関係のない日本人集団を対象に4つの置換部位の型判定を行っている。今後は今回明らかにした塩基置換が法医学的に有用であることを種々の検定を用いて検証していく予定である。また、これらの塩基置換置と従来の血清蛋白型との相関についても調べる予定である。
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