2003 Fiscal Year Annual Research Report
世界のマラリア汚染地域に貢献できるクロロキンの免疫学的簡易薬毒物検査法の研究
Project/Area Number |
15790320
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
是枝 亜子 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (80284751)
|
Keywords | クロロキン / 抗薬物抗体 / 検査キット / 抗マラリア薬 |
Research Abstract |
平成15年度以前に作成済みの抗クロロキン抗体産生ハイブリドーマを無血清培地にて培養し、その培養上清を回収した。Protein Gゲルを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより培養上清から抗クロロキン抗体の精製を行い、SDS-PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法)やELISA(酵素免疫測定)で精製度を確認した。精製抗体(MAC28)は他の抗マラリア薬(キニーネ、プリマキン、ハロファントリン、メフロキン)と交叉反応せず、クロロキンや代謝物のビスデスエチルクロロキンに強い反応性を示した。平成16年度においては、このMAC28に対して金コロイド標識を行い、イムノクロマトグラフィー法もしくは競合阻害法を用いた簡易検出システムを構築する予定である。 また、本年度はクロロキンの毒性機序に関する知見を得るため、クロロキン急性中毒マウスを用いて、抗クロロキンポリクローナル抗体による免疫組織染色(脳、心臓、肺臓、肝臓、腎臓)を行った。その結果、脳では脈絡上皮、肺臓では気管粘膜やII型肺胞細胞、腎臓では遠位尿細管と集合管における著明な染色が認められた。この結果より、クロロキンの脊髄液を介した脳内への拡散や、肺臓内の粘液分泌細胞からの分泌、腎臓における遠位尿細管と集合管における受動拡散に基づく分泌などが示唆された。また、肝臓においては中心静脈周辺細胞により強い染色が認められ、クロロキン代謝を行うチトクロムP450酵素の肝組織内局在との関連性が考えられた。また、心臓においては特殊心筋における強い染色性が疑われたが、これらについてはさらに詳細な検討が必要であり、引き続き研究を進める予定である。
|