2004 Fiscal Year Annual Research Report
世界のマラリア汚染地域に貢献できるクロロキンの免疫学的簡易薬毒物検査法の研究
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15790320
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
是枝 亜子 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (80284751)
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Keywords | クロロキン / 簡易薬毒物検査法 / 半定量法 / ドットブロット法 |
Research Abstract |
本年度は平成15年度に調製、精製した抗マラリア薬クロロキン(CQ)に対するモノクローナル抗体(MAC)を用いて半定量が可能なCQ検出システムを作成した。また、各種濃度のCQ溶液を用いてシステムの有効性を検証した。システムの概要は以下の通りである。 まず、検出用紙として0.5cm四方のニトロセルロース膜にBSA-BDCQ(牛血清アルブミンにCQ代謝物でCQと類似構造を持つビスデスエチルクロロキンを結合したもの)0.1μgをプロットし、2%BSA溶液でブロッキングしたもの2枚を用意する。次に、0.2mlの試料溶液2本に、MAC2ngと10ngをそれぞれ添加して30分間室温でプレインキュベーションする。その後、検出用紙をこの試料溶液、次いで二次抗体溶液(ホースラディッシュペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG)に室温で各々1時間浸漬し、発色液(0.05%ジアミノベンジジン溶液)に30分間反応させてプロット部の発色を確認する。試料溶液中のCQが少量の場合、プレインキュベーションによってもMACは枯渇せず膜抗原と反応して発色が確認されるが、CQが過剰量存在すると、MACは枯渇して発色しない。つまり、これにより血清中CQの治療濃度(0.02-0.5μg/ml)・中毒濃度(0.5-3.0μg/ml)・致死濃度(3.0μg/ml以上)とされる3つの濃度範囲を判別できる検査法とした。 この検査法の有効性を調べるために既知濃度のCQ溶液を用いたブラインドテストを実施した。その結果、91%(n=32)の正解率で治療・中毒・致死レベルの判定ができ、本システムの半定量法としての有効性が示された。
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