2003 Fiscal Year Annual Research Report
食品アレルギー治療のための食品アレルギーメカニズムの解析―IgEレセプター高発現B細胞移入動物を利用した基礎的検討―
Project/Area Number |
15790331
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Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
倉本 雄一郎 社団法人 北里研究所, メディカルセンター病院, 研究員 (30342661)
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Keywords | ローズベンガル / IgE / ε鎖mRNA / ε鎖胚型転写物 |
Research Abstract |
I型アレルギーに代表されるアレルギー反応は、アレルゲンとIgE抗体の免疫複合体が肥満細胞や好塩基球による血管透過性を亢進し、さらにはアナフィラキシーショックのような重篤な全身症状を呈する。食品アレルギーにおいては、牛乳・大豆・卵といった三大アレルゲン以外の食品成分にもアレルギーを引き起こす症例が多く報告され、原因物質の特定および治療法の確立が早急に求められている。近年、和菓子や餡などに用いられる合成食用色素のローズベンガル(RB)はIgE産生増強作用を有し、I型アレルギーの発症を惹起しうることが明らかとなった。この結果は、三大アレルゲン以外の食品成分である食用色素が生体におけるアレルギーの誘発に関与することを示している。そこで、RBを利用した実験系を確立し、食品アレルギー発症メカニズムの解明を目指した。本年度においては、in vitro実験系でRBの作用機序について検討した。マウスBリンパ腫WEHI-279細胞をRBと共に培養後、培養上清中および細胞破砕液中のIgE濃度をELISA法にて測定したところ、RBを終濃度100μMで添加したとき培養上清中および細胞破砕液中双方で実験対照群に比して高濃度のIgEが検出された。さらに、WEHI-279細胞を終濃度100μMのRBと共に培養し、培養後の生細胞中ε鎖mRNAおよびε鎖胚型転写物をRT-PCR法にて測定したところ、実験対照群に比して強いε鎖mRNA発現が認められた。一方、実験対照群とRB添加群のε鎖胚型転写物発現は同程度であった。以上の結果より、RBによるWEHI-279細胞のε鎖mRNA発現増強およびIgE産生促進作用が示唆された。一方、RBはε鎖胚型転写物発現を増強しなかったことから、IgMからIgEへのクラススイッチに影響を及ぼさないことが推察された。
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