2003 Fiscal Year Annual Research Report
胆管細胞特異的PDC-E2発現マウスを用いたPBCモデルの作製およびその解析
Project/Area Number |
15790341
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
辻 宏和 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (80345610)
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変 / PDC-E2 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
1.ピルビン酸脱水素酵素複合体E2コンポーネント(PDC-E2)を胆管細胞特異的に発現せしめたトランスジェニックマウス(CK19-PDCE2 Tg mice)では、本来ミトコンドリア内膜上に局在し抗原認識から免れているPBCの対応自己抗原PDCE2が獲得免疫系に容易に認識されうる。異所性(胆管細胞細胞質)にPDC-E2が存在すること自体が原発性胆汁性肝硬変(PBC)の発症機序に関わっているならばCK19-PDCE2 Tg miceは自然経過で胆管炎を発症する可能性がある。そこで生後1・3・6・12ヶ月のTg miceにつき組織学的・生化学的・血清学的に検索した。組織学的には胆管炎・胆管消失・肉芽腫形成などの病変は認めなかった。得られた肝病変としては12ヶ月齢マウスにおいて10匹中1匹に肝細胞癌の発生を認めた。血清ALT, ALP値は野生型マウスと比して上昇無く、抗ミトコンドリア抗体M2分画は全例において陰性であった。 これらのマウスにおいては、胎生期よりPDCE2が発現したために免疫寛容が成立している可能性が考えられる。そのため免疫寛容を破綻させるための試みを行った。 2.LPSを生後4・6・8週齢の時点で腹腔内又は経静脈投与する事によりKupffer細胞を始めとした肝網内系の賦活化、それを基点とした免疫反応惹起を図った。このモデルにおいて、生後1・3・6ヶ月齢マウスを組織学的・生化学的・血清学的に検索し、現在も観察継続中だが、現時点では胆管病変の発現は認めない。 3.Tg miceとH-2d同系統のC57BL/6マウスの骨髄細胞よりCD4,CD8a, B220陽性細胞を除去した後にGM-CSF, IL-4にて刺激し、樹状細胞(抗原提示細胞)を誘導した。現在、これらの樹状細胞にリコンビナントPDC-E2蛋白を貪食させex vivoにおけるPDC-E2抗原の提示を試みている。
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