2003 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞の脂肪化におけるレチノイン酸X受容体の役割とその治療応用に関する検討
Project/Area Number |
15790359
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
冨田 謙吾 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50317129)
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Keywords | PPARgamma / ピオグリタゾン / アルコール / 脂肪肝 / c-Met |
Research Abstract |
我々は、肝細胞の脂肪化におけるRXRの役割を検討する上で、RXRとheterodimerを形成するPPARgammaに注目し、PPARgamma agonistであるピオグリタゾンを用いた検討をまず始めに行った。5週令のSD系雄性ラットをエタノール投与群、エタノール+ピオグリタゾン投与群、コントロール群の3群に分け、各群間で同カロリーの食餌を摂取するようfeedingを施行した。エタノール飼料投与はLieberらの方法に準じて施行し、ピオグリタゾンは10mg/kg/dayを胃管にて連日投与し、計6週間のfeedingを施行した。その結果、エタノール投与により著明な脂肪肝が惹起されたが、ピオグリタゾン投与により劇的に改善した。Hepatocyte growth factor (HGF)受容体であるc-Metの肝臓における発現レベルは、慢性エタノール投与により減弱したが、ピオグリタゾン投与により発現の増加を認めた。培養肝細胞を用いた検討により、肝細胞における、このHGF/c-Met signalingの活性化が、apoB levelの増加、sterol regulatory element binding protein (SREBP)-1cおよびstearoyl-CoA desaturase (SCD) levelの減少を介し、肝細胞の脂肪化を抑制することが明らかとなった。そしてピオグリタゾンの作用点がこのHGF/c-Met signalingを介することも明らかとなった。現在、RXR/PPAR gamma heterodimerが同様の作用機序を有するか否かを検討中である。また、非アルコール性脂肪肝モデルであるob/ob mice、fa/fa ratに対しても同様の検討を行い、肝細胞の脂肪化の共通のメカニズムに対する、ピオグリタゾンの作用点に関する検討を加えている。
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Research Products
(1 results)