2003 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲンの心肥大に及ぼす影響―アロマターゼ・ノックアウトマウスを用いた検討
Project/Area Number |
15790385
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山崎 直仁 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (90284447)
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Keywords | エストロゲン / 心肥大 / アロマターゼ |
Research Abstract |
1 研究の目的.本研究では、エストロゲンの心肥大に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、体内でエストロゲンが産生されないアロマターゼ遺伝子欠損マウスの心臓につき検討した。 2 研究方法と経過.アロマターゼ遺伝子欠損マウスは、男性ホルモンであるアンドロゲンをエストロゲンに変換する酵素であるアロマターゼが欠損する結果、体内でエストロゲンが全く産生されない。今回、我々は30-40週齢のメスのホモのアロマターゼ遺伝子欠損マウスを用い、以下の比較検討を行った。(1)心臓の解剖学的変化:マウスの心臓を摘出し、心重量の測定を行った。また、心臓の組織切片を作成し、心筋細胞の肥大の有無、間質の線維化の有無につき検討した。(2)心機能:麻酔下に心臓の超音波検査を施行し、心臓のサイズ、心臓の壁厚、心臓の収縮性としての駆出率を計測した。(3)心臓での遺伝子発現:マウスより心臓を摘出し、これよりmRNAを抽出、定量的PCR法を施行し、心肥大に関連した遺伝子発現の変化につき検討した。 3 研究の成果(1)アロマターゼ遺伝子欠損マウスでは、野生型マウスと比較し、絶対心重量の増加はなく、また心重量/体重比で見ても、心重量の変化は認められなかった。心臓の組織学的検討では、心筋細胞の肥大所見は認められ無かった。また間質の線維化の所見にも、野生型マウスとの間に差異は認められなかった。(2)心エコーで計測した心臓のサイズ、収縮性(駆出率、駆出分画)は、正常に保たれており、コントロールとの間に有意差を認めなかった。(3)アロマターゼ・ノックアウトマウスでは、心肥大のマーカーであるANP, BNP、心肥大を生ずるACE, Endothelin-1,Cardiotrophin-1,TNF-α,IGF-1、Caハンドリングに関連するL型Ca channel, SERCAの各遺伝子発現は、野生型との間に有意差を認めなかった。
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