2003 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞、温度応答性高分子ディッシュを用いた移植用心筋グラフトの作成
Project/Area Number |
15790391
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
板橋 裕史 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00317108)
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Keywords | ES細胞 / 温度感応性培養皿 / 細胞シート / Flk-1 |
Research Abstract |
ポリN-イソプロピルアクリルアミド(PIPAAm)を表面加工した温度感応性培養皿を用いて新生仔ラットの心筋細胞より心筋シートを作成した。こうして得られた心筋シートを1〜3枚重ねてヌードラットの皮下に移植したところ、移植後2週間後にも心筋シートは良好な拍動を示し、免疫組織学的検討の結果上も心筋細胞の配向、整然とした横紋構造の再構築、微小血管の誘導存どの所見が得られた。マウスES細胞から高率に心筋細胞を分化誘導する試みに関しては、現在の所、誘導率は1%未満と極めて低い値にとどまっている。しかし、集塊を形成する様に誘導された心筋細胞の集まりを選択的に回収する事などで、回収した細胞における心筋細胞の比率を向上させる事が可能かどうか検討中である。心筋細胞に分化したES細胞を選択的に回収するために各種の心筋収縮蛋白のプロモーターの下流に蛍光蛋白物質を挿入したベクターを分子生物学的手法を用いて作成した。作成したベクターを新生仔ラット心筋細胞に挿入したが発光が弱く安定したソーティングに用いる事は困難と考えられたため、現在さらにエンハンサーを挿入する方法を検討している。またES細胞から将来移植片を作成する際に有用となる細胞を誘導する試みとして、ES細胞をIV型コラーゲンコーティングディッシュ上で培養した際に誘導されるFlk-1陽性細胞を回収する試みを行った。こうして回収された細胞は心筋シートに挟んだ際に、シート内で血管を形成する前駆細胞となると期待されたが、現在の所、ES細胞から誘導されたFlk-1陽性細胞は1%程度にとどまっており、今後さらなる誘導率の改善が必要と考えられる。
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