2004 Fiscal Year Annual Research Report
カルモデュリン依存性キナーゼによる心筋の興奮・収縮の調節
Project/Area Number |
15790397
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小武海 公明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60360145)
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Keywords | カルモデュリン / カルシウム電流 / カルシウムイオン / 穿孔パッチクランプ法 / ウェスタンブロッティング / α受容体 / KN-93 |
Research Abstract |
昨年度はラット心室筋のL型Ca電流がα1受容体刺激により活性化され,それがカルモデュリン依存性キナーゼ(CaMKII)阻害薬で抑制されることを明らかにした.本年度は,まず,ラット心室筋の細胞長を測定し,α1受容体刺激をおこなうと,L型Ca電流と同様の変化を示すことを確認した.これは,α1受容体刺激時の陽性変力作用がL型Ca電流の変化により調節されていることを示している.次に,交感神経β受容体刺激時にL型Ca電流が増大することはよく知られているが,α1受容体刺激時のように,CaMKII阻害薬存在下でもL型Ca電流が増大するかどうかを穿孔パッチクランプ法で検討した.CaMKII阻害薬のKN-93(0.5μmol/L)存在下でもβ刺激によりL型Ca電流は増大した.よって,β刺激によるL型Ca電流増大のカスケードにはCaMKIIは含まれないと考えた.次に,α1受容体刺激時にL型Ca電流がCaMKIIを介して増大するならば,細胞内Caが関与していると考え,細胞内Caを緩衝して,L型Ca電流に対するα1受容体刺激の効果を検討した.穿孔パッチクランプ法で細胞内にアクセスが得られた時点で,細胞膜透過型のCa緩衝薬BAPTA/AMで潅流し,収縮が消失することを確認した後,α1受容体刺激を行ったところ,α1受容体刺激の効果は消失し,上昇相も下降相も認められなかった.よって,α1受容体刺激の効果に細胞内Caは必須であると考えた.続いて,α1受容体刺激時にCaMKIIが活性化されているかどうかを単離した心室筋細胞を用いてウェスタンブロッティング法にて検討した.α1受容体刺激により,総CとMKII量は変化しなかったが,自己リン酸化されたCaMKII量は増大した.これらのことから,交感神経α1受容体刺激はCaMKIIを活性化させ,L型Ca電流を増大させると考えた.
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