2003 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌患者における血中サイトケラチン8測定の臨床的有用性に関する研究
Project/Area Number |
15790411
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
坂東 修二 香川大学, 医学部附属病院, 助手 (60314928)
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Keywords | サイトケラチン8 / 肺癌 / 腫瘍マーカー / Aberrant splicing / アポトーシス |
Research Abstract |
平成15年度の研究成果として以下のことが明らかになった。 1 肺癌培養細胞株において、サイトケラチン8遺伝子のAberrant splicingによると考えられる新たな蛋白を発見した。この蛋白は通常のサイトケラチン8分子が有するカスパーゼによる切断認識部位を欠失しており、肺癌細胞のアポトーシスに対して抵抗性を与える分子ではないかと推察される。この分子は化学療法や放射線療法に高い感受性を有し、アポトーシスに陥りやすい小細胞肺癌では発現されておらず、様々な治療によってもアポトーシスに陥りにくい非小細胞肺癌において高い発現が認められることから、非小細胞癌において何らかの重要な役割を担っているものと考えられる。これらの結果は論文にまとめ、Lung Cancer(42:153-161,2003)誌上に発表した。 2 サイトケラチン8は非小細胞肺癌に高発現しており、転移、浸潤能や薬剤耐性機序に関与している可能性が指摘されている。現在我々は、siRNAを用いて培養細胞中のサイトケラチン8分子をノックダウンすることにより、癌細胞の抗癌剤に対する感受性の変化及び浸潤能の変化を検討している。現段階ではサイトケラチン8に対するsiRNAは肺癌細胞中で有効に機能しており、癌細胞の形態や、増殖力に影響を与えていることが判明しつつある。また、癌細胞の薬剤感受性にも影響を与えていると考えられる結果が得られつつある。今後、この結果を踏まえて、腫瘍を移植したヌードマウスに対してのサイトケラチン8siRNAの抗腫瘍効果も検討し、臨床応用への可能性を検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)