2003 Fiscal Year Annual Research Report
細菌性肺炎におけるToll-like receptorの関与
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15790418
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山田 稚子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50317137)
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Keywords | 急性肺損傷 / Toll like receptor 4 / C3H / HeJマウス / CD14 / NF-κB |
Research Abstract |
【目的】グラム陰性桿菌の細胞膜成分であるlipopolysaccharide (LPS)を用いて急性肺損傷モデルを作成し、Toll like receptor (TLR)4遺伝子変異をもつLPS低応答性マウス(C3H/HeJ)が及ぼす影響を検討した。LPS刺激はCD14に結合し、TLR4を介して細胞内に伝達される。抗CD14モノクローナル抗体(4C1)を用いてC3H/HeJと比較検討した。【方法】C3H/HeJ (J)と野生型C3H/HeN (N)マウスを用いて、LPS気管内投与にて肺損傷を作成し、一部の動物に、肺損傷作成前に4C1を静注した。以下の方法で肺損傷を評価した。(1)EMSA:肺損傷作成後に肺を摘出、核蛋白を抽出し、γ[^<32>P]でラベルしたNF-κB consensus oligoと反応させ、泳動しNF-κB-DNA結合を測定。(2)Supershift assay法(p50,p65の抗体を使用)。(3)気管支肺胞洗浄液中の総細胞数、好中球分画、各種サイトカイン活性を評価。【結果】(1)NでLPS投与後のNF-κB活性は有意に上昇し、4C1前投与により有意に抑制された(p<0.01)。LPS投与後JのNF-κB活性はNと比較し低値であった(p<0.05)。Jに4C1を投与はLPS投与後のNF-κB活性に差はなかった。(2)4C1投与とJとでバンドのパターンに相違を認めた。(3)LPS投与後Jでは総細胞数、好中球分画ともにNと比較し減少し、TNF-α、KCについてもLPS投与後JはNと比較し低値であった(p<0.05)。【結論】4C1前投与とTLR4導伝子変異系マウスの両者でLPS投与後のNF-κB活性が抑制された。また、JでLPS投与後の肺内への炎症細胞浸潤と局所でのサイトカイン産生が抑制された。LPS刺激においてCD14、TLR4非依存性のシグナル伝達経路の存在が示唆された。
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