2003 Fiscal Year Annual Research Report
中高年女性肺MAC症成立におけるエストロゲンの影響
Project/Area Number |
15790424
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Research Institution | Clinical Research Center, National Hospital Organization, Kinki-Chuo Chest Medical Center |
Principal Investigator |
露口 一成 独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター, 感染症研究部, 室長 (00359308)
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Keywords | 肺M.avium complex症 / エストロゲン |
Research Abstract |
全身・肺局所に基礎疾患を有さない中高年女性に、肺Mycobacterium avium complex(MAC)症が好発する原因を探求する目的で、エストロゲンのMACに与える影響を検討した。当院で肺MAC症と診断された女性の血清中17β-estradiolの濃度をELISA法にて測定した。肺結核症、一般呼吸器疾患の女性患者を対照とした。現時点では、群間における明らかな血清濃度の差を認めるには至っていない。今後、症例数を蓄積するとともに、画像所見など病態の遠いにより濃度差がみられるかにつき検討を加える予定である。また、エストロゲンの影響を考えるうえで、MAC増殖に与える直接効果の有無の検討が必要と思われたため、臨床分離MAC株を5×10^6CFU/mlの菌量で浮遊させた液体培地中に、17β-estradiolを3pg/ml、30pg/ml、300pg/mlの濃度で加え、生菌数に与える影響を検討した。結果、群間における有意差はみられず、直接効果はないものと考えられた。また、肺MAC症成立における菌側の因子を考えるために、当院で経験した家族内発症の肺MAC症2例につき分離MAC菌株のパルスフィールドゲル電気泳動分析を行ったところ異なった菌株であることが判明した。以上より肺MAC症発症には菌側の因子よりも宿主側の因子が強く関連している可能性が示唆され、その因子として女性ホルモンの影響の有無につき今後も検討を続ける予定である。
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