2004 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症におけるオリゴクローナルバンドの病因的意義に関する研究
Project/Area Number |
15790444
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中島 一郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50333810)
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Keywords | 多発性硬化症 / オリゴクローナルバンド / 等電点電気泳動法 / 視神経脊髄型多発性硬化症 / 自己抗体 / ファージディスプレイ法 |
Research Abstract |
1.髄液オリゴクローナルバンドの測定法の違いによる陽性率の比較解析 多発性硬化症患者59例(通常型39例、視神経脊髄型20例)の髄液中のオリゴクローナルバンドを当電点電気泳動法(IEF)と従来のアガロース電気泳動法(AGE)にて測定し、陽性率を比較したところ、AGEでは17%であった陽性率がIEFでは54%に上昇した。通常型ではIEFでは77%の陽性率があったのに対し、視神経脊髄型ではIEFを用いても陽性率は10%と低かった(J Neuroimmunol,2005)。日本人多発性硬化症でも高感度な測定法を用いれば、オリゴクローナルバンドの陽性率が高いことが判明し、特に通常型との関連が強いことが明らかになった。 2.多発性硬化症の血清自己抗体の検索 米国Mayo Clinicとの共同研究で多発性硬化症の血清中の自己抗体の検索を免疫組織化学法を用いて行った。視神経脊髄型12例中7例の58%に特異的な自己抗体の存在が示唆されたが、5例の通常型では認められなかった(Lancet,2004)。視神経脊髄型は髄液オリゴクローナルバンドが通常陰性であるが、血清中には特異的な自己抗体が存在することが判明し、通常型とは異なる病態を有する可能性を示唆した。 3.髄液IgGのエピトープ検索 髄液IgGの認識エピトープの検索をファージディスプレイ法を用いて行った。オリゴクローナルバンドが半数以上の症例で認められるHTLV-1関連脊髄症の髄液において、HTLV-1ウイルスの構成蛋白であるgp46に対するエピトープが患者間で共通して認められた(J Neuroimmunol,2004)。同様の手法を用いた多発性硬化症の髄液の検討において患者間で共通したエピトープを認めることはできなかった。
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Research Products
(4 results)