2003 Fiscal Year Annual Research Report
劣性遺伝性神経変性疾患の臨床と分子遺伝学による網羅的解析
Project/Area Number |
15790448
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高野 弘基 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (80345503)
|
Keywords | 痙性対麻痺 / SPG / 劣勢遺伝性神経疾患 |
Research Abstract |
劣性遺伝性神経変性疾患は、多くの疾患単位を含有する極めて異質性に富む疾患群である。小脳失調を主体とするものは脊髄小脳変性症に分類され、Friedrich失調症(FRDA)やataxia-telangiectasia (AT)がよく知られている。最近では、低アルブミン血症と眼球運動失行を伴う早発型失調症early-onset ataxia with ocular motor apraxia and hypoalbuminemia (EAOH)の遺伝子APTXが同定され、本邦で主要な劣性遺伝性脊髄小脳変性症であることが認識されてきている。海外の家系ではautosomal recessive spastic ataxia of Charlevoix-Saguenay (ARSACS)やspinocerebellar ataxia with axonal neuropathy (SCAN1)で原因遺伝子が同定された。一方、痙性対麻痺を主体とする劣性遺伝性痙性対麻痺については、spq7,SPG20(Troyer syndrome)で原因遺伝子が同定されている。しかしながら、痙性対麻痺には、小脳失調や末梢神経障害を伴い、脊髄小脳変性症と区別し難い例もあり、劣性遺伝性神経変性疾患は全体的には未だ渾然とした状況ともいえる。申請者は、これまで遺伝子診断を行い既知の原因遺伝子に変異が検出できなかった例を含め劣性遺伝性神経変性疾患累積例に対して、網羅的に臨床分子遺伝学再解析を施行している。劣性遺伝性脊髄小脳変性症全21家系で、8家系がEAOHで、残り13家系でFRDA, ARSACS, SCAN1を除外した。この内、2家系はhypogonadism伴う小脳失調であり、4家系は末梢神経障害を伴う小脳失調であり、7家系には膝蓋腱反射正常または亢進と小脳萎縮を認めた。劣性遺伝性痙性対麻痺30家系では、25家系が岩淵らがまとめた脳梁菲薄化を伴う複合型遺伝性痙性対麻痺(ARHSP with TCC)と考えられた。この内、12家系は第15番染色体への連鎖が確認されており、SPG11とされる。現在は、連鎖不平衡マッピングの手法を用いて連鎖領域を狭めることと、患者脳から得られたcDNAを用いた該当領域からの発現遺伝子変異の変異検索を行っている。
|
Research Products
(1 results)