2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790465
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮脇 一真 京都大学, 医学研究科, 助手 (00359811)
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Keywords | GIP / 脂肪 / エネルギー代謝 / 高脂肪食 / 消化管ホルモン / IRS-1 |
Research Abstract |
これまで申請者は、GIPシグナル遮断より高脂肪食下では脂肪が通常より燃焼され肥満が抑制されること示してきた。しかしながら、GIPはインスリンと一部類似の機能を持ちインスリンと協調的に働くため、GIPのエネルギー代謝における役割をインスリンと対比して論じることは不可能であった。今年度はGIPシグナルとインスリンシグナルとの関係をより明らかにするため、GIP受容体(GIPR)欠損マウスとインスリンシグナルの減弱したインスリン受容体基質(IRS-1)欠損マウスを交配しダブル欠損マウスを作製して解析した。ダブル欠損マウスは、IRS-1欠損マウスに比較し、脂肪重量が減少しており、明期において低い呼吸商と高い脂肪燃焼を示した。これは高脂肪食下と同様、インスリンシグナルが減弱した状況下においては、GIPは栄養素としての脂肪利用を抑え、脂肪を蓄積させていることを示している。申請者は、さらにGIPR欠損による脂肪利用亢進のメカニズムを解析するため遺伝子発現を調べた。肝臓では遊離脂肪酸の取り込みに重要なCD36や熱産生に重要な役割を果たすUCP2の発現が上昇しており、筋肉ではβ酸化の律速酵素である3-hydroxyacyl-CoA dehydrogenase(HD)の発現上昇が確認された。また、HDの活性化は酵素学的にも証明された。以上のことから、高脂肪食下やインスリンシグナル減弱下など、GIPシグナルがインスリンシグナルに比較して相対的に強くなる場合では、栄養素は脂肪細胞へより多く向かい脂肪蓄積が増大する。一方、GIPシグナルが遮断されGIPシグナルがインスリンシグナルに対して相対的に弱くなる場合では、栄養素は筋肉や肝臓へ向かいUCPやβ酸化を介して燃焼される。3年にわたる研究を通して、GIPが栄養素の流れのスイッチングを担っていることとそれを支える分子基盤の一端を明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)