2003 Fiscal Year Annual Research Report
IRF-4欠損マウスを用いた樹状細胞の分化及び活性化機構の解析
Project/Area Number |
15790494
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鈴木 章一 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (40253695)
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Keywords | 樹状細胞 / IRF-4 / development / 分化 / 骨髄細胞培養系 / GM-CSF |
Research Abstract |
すでに申請者はGM-CSFを用いた骨髄細胞培養系で産生される樹状細胞(DC)がIRF-4を発現していること、IRF-4欠損マウスの骨髄細胞から正常なDCが産生されないという現象を見い出していた。平成15年度の研究において、IRF-4欠損マウスの骨髄細胞をGM-CSFと共に10日間培養して得られた浮遊細胞(KO-GMC)の特徴を詳細に調べることにより、以下に示す事実を明らかにすることができた。(1)野生型マウス骨髄細胞からGM-CSFにより産生されたDC(WT-GMDC)と比較して、KO-GMCでは細菌の殺傷に必須な活性酸素産生能が著しく増加していた。(2)マクロファージへの分化の方向を決定付ける転写因子「IRF-8」の発現量を調べると、WT-GMDCはこの因子を発現していないのに対しKO-GMCはその因子を顕著に発現していることがわかった.(3)TNF-αで刺激した場合、WT-GMDCは浮遊した成熟型DCに分化するのに対して、KO-GMCは培養皿に接着し、空砲を持った細胞に分化することがわかった。これらの結果よりKO-GMCは単球/マクロファージの特徴を持った細胞であることが明らかになった。すなわち、GM-CSFを用いた骨髄細胞培養系においてIRF-4は骨髄系共通前駆細胞からマクロファージへの分化を抑制しDCへの分化を促進する機能があることが示された。次に野生型マウスの骨髄細胞とIRF-4欠損マウスの骨髄細胞をGM-CSF存在下で10日間、共培養した。野生型マウスの骨髄細胞からはDCが産生された。しかし、IRF-4欠損マウスの骨髄細胞からは上記に示した単球/マクロファージの特徴を有した細胞しか産生されなかった。この結果よりGM-CSF骨髄細胞培養系においてIRF-4欠損マウスの骨髄細胞からDCが産生されない原因は、この培養系に存在するDC以外の細胞の異常によるものではなく、IRF-4が骨髄系共通前駆細胞からDCにかけて存在しないためであることがわかった。つまりDC及びその前駆細胞そのものにIRF-4が発現され、機能することが、本培養系におけるDCの分化に必要であることがわかった。
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