2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790506
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation |
Principal Investigator |
田中 宏和 財団法人先端医療振興財団, 再生医療研究部, 主任研究員 (40360846)
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Keywords | 細胞周期 / アポトーシス / 活性酸素種 |
Research Abstract |
本年度我々は、血液細胞の増殖、分化及び造血発生における活性酸素種ROSの役割について解析を行った。 IL-3依存性マウス白血病細胞株Ba/F3を用い、優勢阻害型のNF-κB(IκBSR)を細胞内に誘導出来る系を作成した。さらにこの系に各種サイトカインレセプターを導入することで、各々のサイトカイン依存性の亜株を樹立した。各種サイトカイン存在下IκBSRを誘導した場合、TPO,G-CSFによる増殖には影響されなかったが、低濃度でのIL-3,EPOによる増殖が有意に抑制された。一方サイトカイン除去後にIκBSRを誘導した場合、過剰なROSの蓄積を伴うapoptosisが認められた。さらにマウス骨髄より分離した造血幹、前駆細胞にIκBSRを導入した場合、至適サイトカイン存在下においても過剰なROSの蓄積を伴うapoptosisが認められた。抗酸化剤処理により、apoptosisが有意に減少することから、生体内での血液細胞の増殖、apoptosisにROSが重要な役割を担っていると推測された。 次に造血発生における活性酸素種ROSの役割について解析を行った。マウスES細胞をLIF非存在下OP-9ストローマ細胞と共培養すると4日目に血液、血管共通の前駆細胞が出現し、それ以降には至適サイトカイン存在下で、各種血球細胞が出現する(OP-9 system)。本systemにおいてIκBSRを誘導させた場合の各種血球細胞の出現に及ぼす影響を検討したところ、赤血球系、巨核球系、及び骨髄球系いずれの出現も有意に抑制され、多くの細胞にapoptosisが認められた。抗酸化剤処理により、成熟血球への分化誘導が改善することから、造血発生においてもROSが重要な役割を担っていると推測された。 以上の結果、生体内での血液細胞の増殖、分化及び造血発生において、ROSを介したapoptosisの制御が重要であること、さらにROSの産生、消去にはNF-κBが関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)