2003 Fiscal Year Annual Research Report
RSウイルス感染症の地理情報システム(GIS)を用いた空間的分子疫学研究
Project/Area Number |
15790520
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 玲子 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30345524)
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Keywords | RSウイルス / 感染症 / 地理情報システム |
Research Abstract |
RSウイルス(以下RSVと略す)はA型とB型に分類され、主に冬期に流行し乳幼児の重症下気道感染起因ウイルスとして重要である。我々は表面抗原であるG蛋白の遺伝子型からA型とB型に分類し、サブタイプ別の地域内流行状況について地理情報システム(Geographic Information System;以下GISと略す)を用いて地理的・空間的に解析した。 2001年11月から2002年3月、2002年9月から2003年6月まで、新潟市内の1小児科を受診した下気道炎を疑わせる乳幼児から、同意の上、鼻腔吸引液を採取し、患者検体からRT-PCRでA・B型の分類を行った。さらに、患者の住所、年齢、地域の人口データなどの情報をGISソフトArc View^<【○!R】>でデジタル地図上に展開し、地域内流行状況を地理的・空間的に検討した。 2001/2002年シーズンは鼻腔吸引液74件中PCR陽性32件中A型30件、B型2件でA型が多くみられた。2002/2003年は鼻腔吸引液176件PCR陽性53件中A型45件、B件8件で、2001/2002のA型の流行からB型への移行がみられた。 GISを用いて患者の住所情報からRSV患者分布を点表示し、国勢調査データに基づいた500m四方メッシュ内の10歳未満人口との関連を解析した。2001/2002はA型について、2002/2003はB型について解析したところ、10歳未満人口密度の高い地域に患者が集中する傾向がみられたため、通院圏として医院を中心とした2.5km半径の円内に半径1kmの円を500m角毎に作成し、円内のRSV患者発生と人口密度との関連を調べた。2001/2002のA型では10歳未満人口密度が0-1000人/1km円で罹患率0.61±0.99(平均値±標準偏差、10才以下人口1000人あたり)、1000-2000で1.73±1.33、2000-3000で2.50±1.81と人口密度が高いほど罹患率が有意に上昇した。2002/2003のB型でも10歳未満人口密度0-1000で罹患率0.61±0.99、1000-2000で1.73±1.33、2000-3000で2.50±1.81とA型と同様に人口密度が高いほど罹患率が有意に高い特徴が示された。
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