2004 Fiscal Year Annual Research Report
RSウイルス感染症の地理情報システム(GIS)を用いた空間的分子疫学研究
Project/Area Number |
15790520
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 玲子 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30345524)
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Keywords | RSウイルス / 分子疫学 / 地理情報システム(GIS) / 感染症 |
Research Abstract |
RSウイルス(以下RSVと略す)はA型とB型に分類され、主に冬期に流行し乳幼児の下気道感染起因ウイルスとして重要である。我々は表面抗原であるG蛋白第二可変領域の塩基解析からA又はB型と遺伝子型を決定し、RSウイルスの地域内流行状況について地理情報システム(Geographic Information System)を用いて地理的・空間的に解析してきた。前年度を通じて多数の検体が集まったため今年度は分子生物学的遺伝子型解析を主に行った。 平成15年度より引き続き平成16年度も新潟市内の小児科医院を受診した下気道炎を疑わせる乳幼児から、同意の上、鼻腔吸引液を採取し、患者検体からRT-PCRでA・B型の分類を行い、さらにPCR産物をシークエンスしてRSVのG蛋白第二可変部位の塩基配列を決定し、Peretらの方法(J Gen Virol, 1998)を用い樹形図に展開し遺伝子型を決定した。前回報告した平成15年7月以降、平成17年2月まで354件検体採取され、うち123件がA型、27件がB型RSVであった。平成15年は9月から11月にかけてA型を中心とした流行で、平成16年1月以降春先まで散発的にB型がみられ、同年11〜12月に再びA型が主流の大きな流行がみられた。平成15年は遺伝子型GA5がA型の主流であったが、平成16年秋からは今までの分類型に属さない新しい遺伝子型のA型RSVの流行をみており、この変化は宿主免疫を逃れるための変異と思われRSVの進化を見る上で今後の流行動勢が興味深い。B型RSVに関しては平成14年秋に初めて検出された、G蛋白第二可変部位に60塩基の挿入がみられる特殊な型が平成15年も検出され続け、この年は全例同型であった。平成16年秋以降も検出されているものの挿入の無い通常型も混じっていた。この特殊なB型RSVは平成11年にブエノスアイレスで初めて検出され、平成14年秋〜冬には当教室以外にも札幌、横浜市でも確認され全国的に流行した可能性があり、RSVの世界的な伝播形式を考える上でも非常に興味深い所見と思われ、英文雑誌発表を行った(次ページ研究発表リスト)。
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Research Products
(1 results)