2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンI_2産生能とRSウイルス感染症の重症度との関連
Project/Area Number |
15790534
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
橋本 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50322342)
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Keywords | RSウイルス / ウイルス感染症 / プロスタサイクリン / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
病院受診者のうちRSV感染症が疑われる小児に対して、RSV抗原検出キットを用いRSV感染症の確定診断し、本研究を理解し、協力の承諾を得られた対象者のみより血液および尿を採取した。研究期間中200人分のRSV感染症患者検体(全血、尿、血清)、および健康成人98人から全血を収集した。体内でのPGI_2産生を検討するためのコントロール尿は乳児検診で受診した児の尿を収集した。 RSV感染者については、重症度の点数化をすると共に臨床情報を収集しデータベース化した。血液検体よりDNAを精製し、PCRにてPGI_2合成酵素プロモーターの5'末端側上流の目的の領域を増幅し、GENESCAN^【○!R】を用いマイクロサテライト解析にて転写因子(Sp1、AP-2)の結合塩基配列のVNTR(遺伝子多型)を決定した。また、RSV非感染者においても同様にして一般の遺伝子多型を決定した。さらに、対象者のPGI_2TXA_2の産生状態を調べるためRSV感染時、非感染時(回復期)に、PGI_2およびTXA_2の尿中代謝物である6-keto PGF_<1α>、TXB_2をELISA法で測定した。 (結果)月齢12ヶ月未満において、 1)RSV感染症入院患児と健康成人のVNTRの遺伝子型の分布に差はなかった。 2)VNTRの増加に伴い入院時尿中6-keto PGF_<1α>は高値であった。 3)RSV感染症の重症度と尿中6-keto PGF_<1α>は負の相関を示した(p=0.01)。 4)VNTRの増加と尿中6-keto PGF_<1α>は正の相関を示した(p=0.01)。 5)VNTRの増加と重症度は負の相関を示した(p=0.01)。 (結論)月齢12ヶ月未満の健常乳幼児において、RSV感染時の体内でのPGI_2の産生量がRSV感染症の重症度を決定し、PGI_2の産生はPGISのVNTRの遺伝子多型に依存することが示された。
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