2003 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚悪性腫瘍における転写因子Stat3の役割とその活性化経路の解析
Project/Area Number |
15790578
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
尾藤 利憲 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (50324918)
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Keywords | Stat3 / Squamous cell carcinoma / Malignant Melanoma / RNAi |
Research Abstract |
皮膚有棘細胞癌及び悪性黒色腫におけるStat3の活性及び発現を、有棘細胞癌及び悪性黒色腫の細胞系で検討し、DNA binding activityの恒常的亢進を確認した。同時に行った正常ヒト角化細胞、色素細胞では恒常的な活性は見られなかった。また、有棘細胞癌においては手術摘出組織を用いた免疫染色によってもStat3の過剰発現が認められた。Stat3の恒常的活性が細胞の成長、癌化に重要な役割を果たしているという仮説のもと、Stat3の活性化経路の阻害剤及びStat3特異的阻害を行うStat3 RNAiを用いて有棘細胞癌の成長およびapoptosisの誘導におけるStat3の活性阻害の効果を見た。その結果、Stat3の括性を阻害することで細胞成長の抑制が生じ、apoptosisの誘導が見られた。ヒト皮膚有棘細胞癌においてはStat3活性阻害が癌の増殖抑制につながると考えられた。正常ヒト角化細胞はStat3の活性経路阻害剤にほとんど影響を受けることがないことも判明し、今後、治療への応用が期待できると考えられる。現在,Stat3の活性を亢進させている経路については癌細胞と正常細胞の両側面から検討している。同時に、成長抑制やapotosisの誘導を生じさせるためには、Stat3の転写活性の標的遺伝子については、詳細に検討中である。また、悪性黒色腫においてもStat3の阻害効果を検討し、阻害によりapoptosisの誘導が生じることがわかりつつある。今後は、マウスを用いたin vivoでの実験へと進行することを計画している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Budiyanto A: "Inhibition of the EGF receptor suppresses telomerase activity in HSC-1 human cutaneous squamous cell carcinoma cells."J Invest Dermatol. 121. 1088-1094 (2003)
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[Publications] Tamura S: "Genistein enhances the cisplatin-induced inhibition of cell growth and apoptosis in human malignant melanoma cells."Pigment Cell Res.. 16. 470-476 (2003)