2004 Fiscal Year Annual Research Report
抗精神病薬の薬物反応性における血液脳関門遺伝子多型の影響
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15790612
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
古郡 規雄 (安井 規雄) 弘前大学, 医学部, 講師 (20333734)
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Keywords | P糖タンパク / MDR1 / 血液脳関門 / 抗精神病薬 / ブロムペリドール |
Research Abstract |
P糖タンパクは腸管、肝臓、腎臓および血液脳関門に存在し、汲みだしポンプとして作用する薬物輸送トランスポーターである。P糖タンパクをコードするMDR1遺伝子にはいくつかの多型が存在する。この多型が血液脳関門に発現するP糖タンパク機能を規定し、中枢神経薬の脳内濃度の個人差を導き出す可能性がある。そこで申請者は、定型抗精神病薬ブロムペリドールの臨床効果に及ぼす血液脳関門遺伝子MDR1多型の役割について検討した。本研究に対し文書での同意が得られた31例の急性期の未治療あるいは治療中断中の統合失調症患者であった。ブロムペリドール(6-18mg/day)による治療を3週間行い、毎週BPRSとUKU副作用スケールによる臨床評価および血漿薬物濃度測定用の採血を行った。MDR1遺伝子多型であるC3435TとG2677T/AをPCR-RFLP法で同定した。これらの両遺伝子多型、年齢、体重、性別および血漿薬物濃度を独立変数にそれぞれの臨床反応を従属変数に多変量解析を行ったところ、認知障害の改善スコア(β=0.673,p<0.01)においても改善率(β=0.464,p<0.05)においてもC3435T遺伝子型と有意な相関を認めた。副作用はいずれの変数とも差がなかった。今回の結果より、血液脳関門遺伝子MDR1の多型は抗精神病薬の薬効に関与する可能性が示された。今後、脳内薬物濃度を規定する因子を考慮に入れた検討をすることで薬効予測が容易になることが示され、将来の研究に大いに役立つ所見であると考えられた。
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Research Products
(2 results)