2004 Fiscal Year Annual Research Report
内因性精神疾患に対する薬理遺伝学を用いた治療ストラテジーの開発
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15790616
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
太刀川 弘和 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10344889)
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Keywords | 内因性精神疾患 / Temperament and Character Inventory(TCI) / 治療ストラテジー / 遺伝子多型 / Multi Drug Resistant gene (MDR1) |
Research Abstract |
今年度は、治療ストラテジー開発段階として、以下の研究を行った。 1)向精神薬選択基準の一つとなるTemperament and Character Inventory (TCI)を内因性精神疾患に施行し、詳細な検討を行った。その結果、自己超越(ST)尺度が統合失調症の陽性症状に関連すること、自己志向(SD)尺度がうつ病のstate markerであることが確認された。さらに新奇希求性(NS)尺度低値、損害回避(HA)尺度高値が内因性精神障害の特徴として抽出された。NS、HAは各々ドーパミン、セロトニン系の機能に対応する尺度と想定されており、内因性精神障害に共通する生物学的基盤が推察された。また、TCIと認知機能検査を高齢者に施行したところ、低NS、高ST、ならびに認知機能とSD尺度との相関が見出され、TCIを精神疾患に施行する際には、認知機能や年齢の影響に留意する必要が新たに判明した。これらの結果は日本精神神経学会、日本精神科診断学会にて発表した。 2)遺伝子多型と向精神薬の臨床効果との相関をみるため、内因性疾患患者群より血液sample、臨床データを同時に収集している。臨床データは現在までに内因性うつ病、統合失調症とも各々100例以上収集した。血液サンプルの収集数は現時点では両疾患各々50例程度である。遺伝子解析を開始したが、このうち、現在までにP糖鎖蛋白をコードするMulti Drug Resistant gene (MDR1)のC3435T多型と統合失調症の急性期抗精神病薬の投与量との関連が新たに見出されている。結果は今年の生物学的精神医学会で報告予定である。 3)Clomipramine, fluvoxamine併用療法や、統合失調症の多剤投与例へのquetiapine置換療法など治療ストラテジー開発に寄与する症例報告を蓄積している。得られたデータから、治療ストラテジーを提案する。
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Research Products
(3 results)