2004 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外線スペクトロスコピー法を用いた精神障害における前頭葉血管反応性の研究
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15790617
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 幸治 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00292912)
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Keywords | 近赤外スペクトロスコピー / NIRS / 双極性障害 / hypofrontality / 炭酸ガス / 過感受性 / 光トポグラフィ / near-infrared spectroscopy |
Research Abstract |
はじめに:双極性障害において、多くの機能的脳画像研究では前頭葉の血流減少、糖代謝減少(hypofrontality)が報告されているが、認知課題中の前頭前野活動の報告は少なく、結果も一致していない。そのため、今回near-infrared spectroscopy(NIRS)を用いて、双極性障害患者の認知課題中の前頭前野活動について検討した。さらに、前頭前野の細血管の異常が双極性障害でみられるという仮説を立て、二酸化炭素ガス吸入(CO_2)中の過敏性についても検討を加えた。 対象と方法:対象は、14名の双極性障害患者(39.2±12.5(mean±S.D.)歳、男性6、女性8)および、年齢、性、教育歴、利き手が一致した14名の健常対照群(39.2±12.9歳、男性6、女性8)であった。全ての患者はeuthymicであった。NIRSは、24-channel NIRS imaging system(ETG-100,日立メディコ)を用いた。認知課題は語流暢検査とその対照課題をそれぞれ1分間、3回ずつ行った。CO_2課題は、5%炭酸ガス(5%CO_2,21%O_2,74%N_2)を5L/min(3分間)マスク呼吸をしてもらった。 結果:認知課題の課題成績は双極性障害群および対照群で有為差を認めなかった。認知課題中の酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビンは有為に双極性障害で賦活が悪かった。CO_2吸入課題においては双極性障害群で有為に反応性が亢進していた。 考察:今回の結果は、CO_2の過感受性は、双極性障害のhypofrontalityの病態を説明する一つの要素となり得ることが示唆された。
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Research Products
(5 results)