2004 Fiscal Year Annual Research Report
青年期後期人口におけるうつ病既往の実態と発症と関連する諸要因についての調査研究
Project/Area Number |
15790625
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
友竹 正人 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (50294682)
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Keywords | 精神保健 / 抑うつ / 不安 / 養育 |
Research Abstract |
平成16年度に行った研究は、大学生を対象とした被養育体験内容と精神症状の関連についての検討である。平成16年度の徳島大学新入生を対象として、調査時点での不安・抑うつ症状、被養育体験内容について、それぞれ、Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS)、Parental Bonding Instrument (PBI)を用いて調査した。対象者は研究の内容について文書を用いて説明し、同意が得られた440名(男性239名、女性201名、平均年齢18.6±1.5歳)であった。結果は、PBIのPaternal Care、Paternal Protection、Maternal Care、Maternal Protectionの各スコアは、それぞれ、24.4±6.8、13.2±4.9、28.2±6.4、10.6±6.6であった。HADSのAnxiety、Depressionの各子コアは、それぞれ、8.9±3.2、9.9±3.7であった。また、PBIのPaternal CareはHADSのAnvietyスケールとの間に有意な負の相関が認められた<r=-0.150、p=0.0018>。さらに、PBIのPaternal CareはHADSのDepressionスケールとの間に有意な負の相関が認められた(r=-0,0153、p=0.0014)。PBIのPaternal Protection、Maternal Care、Maternal Protectionついては、HADSスコアとは有意な相関が認められなかった。これらの結果は、大学生の不安、抑うつ症状と子ども時代の父親のCareの低さが関係している可能性を示唆している。これらの結果から、青年期になってからの不安、抑うつ症状の予防について、子ども時代の父親の愛情に満ちた養育態度が重要であると考えられる。PBIを考案したPakerらの研究グループは、成人後の不安、抑うつ症状は、低い親のCareや高いprotection(つまり、過干渉な養育態度)と関係していることを報告しているが、日本人を対象とした我々の研究でもほぼ矛盾しない結果であった。
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