2004 Fiscal Year Annual Research Report
PTSD患者における睡眠障害の経時的検討からの病態解明及び薬物療法の確立
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15790642
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
土生川 光成 久留米大学, 医学部, 助手 (40343701)
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Keywords | 外傷後ストレス障害 / 睡眠障害 / 悪夢 / REM睡眠中断 / 徐波睡眠率低下 / REM睡眠機構の異常 |
Research Abstract |
睡眠障害を有するPTSD患者10名(PTSD群)に対して治療前後で主観的および客観的睡眠評価を行った。主観的評価は、自記式の睡眠日誌と夢日誌にて、客観的評価は睡眠ポリグラフ検査(PSG)とアクチグラフにて行った。PTSD群の治療前のPSG所見と、PTSD群と年齢を一致させた健常人7名(コントロール群)のPSG所見を統計学的(t-検定)に比較した。PTSD患者の治療前のPSG所見では、睡眠効率が87.1±3.4%で健常群(95.1±2.1%)に比べ有意に低下(P<0.0001)し、覚醒時間、覚醒回数もPTSD群で有意に増加していた(各々P<0.01)。また%SWS(Slow-wave sleep)はPTSD群が7.4±6.6%で健常群(14.5±4.7%)に比べ有意に減少(P<0.05)し、浅眠状態にあった。1週間に2回以上の悪夢を訴えていた者はPTSD患者では10名中7名(70%)、健常群では0名(0%)であり、PTSD群で有意に悪夢の出現であった。また悪夢のあるPTSD患者では、PSG上のREM睡眠中断(REM interruption)が特徴的であり、PTSDの病態の一つとして、REM睡眠機構の異常が推測された。PTSD群の治療前後での睡眠構築の変化は、睡眠効率が87.1±3.4→94.1±2.7%に有意(P<0.01)に改善し、睡眠潜時、覚醒時間、%SWSも改善傾向を示した。薬剤の効果の検討では、パロキセチン投与により7名中3名で悪夢は消失し、4名で悪夢は軽減しPSG上もREM interruptionは有意に消失、軽減した。また%SWSが低下し浅眠状態にあつた症例では、クロルプロマジン投与により6名中5名で深睡眠が増加し、熟眠感の欠如も改善した。
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Research Products
(2 results)