2003 Fiscal Year Annual Research Report
急性期脳梗塞治療薬フリーラジカルスカベンジャーのMRSによる脳内代謝動態解明
Project/Area Number |
15790669
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
小田 一成 島根大学, 医学部, 助手 (30314628)
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Keywords | proton MR spectroscopy / infarction / free radical scavenger |
Research Abstract |
【目的】proton MR spectroscopy(pMRS)を用いて脳内代謝物質の定量化を行い、急性期脳梗塞患者の脳内代謝物動態を評価する。また、エダラボン投与における代謝物変化の傾向を探る。 【対象】MCA領域の急性期脳梗塞と診断された10例(梗塞群)と年齢・性別をマッチさせた健常者10例(健常群)。 【撮像方法】臨床用1.5T MR装置を使用。梗塞群は病巣部白質にvoxelを設定し、PRESS法(TE=30msec)にてスペクトルを得た。健常群は頭頂葉白質にvoxelを設定した。評価した代謝物スペクトルはLactate、NAA、Gln、Gln、Glx(Gln+Glu)、Cre、Cho、mInsである。 【検討項目】(1)各々のスペクトルの定量化を行い両群間で比較、病巣における代謝動態を評価した。(2)梗塞群のうちエダラボンを投与した3例と投与していない7例の定量値を比較し傾向をみた。 【結果】(1)梗塞群においてNAA、Gluの有意な低下、Glnの有意な上昇及びLactateの出現がみられた。Glxには有意な差はみられなかった。(2)エダラボンを投与された患者においてGluは低下するがGlnを含めたその他の代謝物には投与の有無による違いがみられない傾向にあった。 【考察】(1)急性期脳梗塞におけるGlnの著明な上昇は、その神経毒性の存在を反映していると考えられる。一方Glxには変化がみられないことから、Glu/Glnサイクルとして捉えると虚血早期には変化がみられない可能性がある。(2)虚血早期におけるエダラボンの脳内代謝物に対する影響を評価する上で、GlxとしてではなくGlnとGluを別々に評価する必要があると推察される。 【結論】急性期脳梗塞に対するエダラボン投与の薬物動態解明においてpMRSが有用性である可能性がある。今後さらに症例を重ねて検討する必要がある。
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