2004 Fiscal Year Annual Research Report
p53の阻害を介して正常細胞へのダメージを軽減する低酸素細胞放射線増感剤の開発
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15790671
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宇都 義浩 徳島大学, 工学部, 助手 (20304553)
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Keywords | 低酸素細胞放射線増感剤 / p53阻害剤 / 放射線防護剤 / ニトロイミダゾール / pifithrin-α / 温熱 / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究目的は,従来のニトロイミダゾール型低酸素細胞放射線増感剤にp53を"一過的かつ可逆的"に阻害する機能を付加することにより低酸素腫瘍細胞の放射線感受性を高めつつ,腫瘍組織周辺に存在する正常細胞の細胞死(副作用)を低減するバイファンクショナル低酸素細胞放射線増感剤の開発である.本年度はp53阻害活性のファルマコフォア同定のため,pifithrin-α(PFT-α)又はpifithrin-β(PFT-β)アナログの分子設計・合成を行った.また,昨年度に分子設計・合成したp53阻害活性を有する低酸素細胞放射線増感剤TX-2004のホモログ合成を行った. 分子軌道計算を用いた分子設計より,PFT-αのカルボニル基をメチレンおよびアルコールへ還元した分子を候補化合物とした.アルコール体の合成に関しては,PFT-αをBH_3・Me_2Sにより還元して収率57%で目的物TX-2120を得た.一方,メチレン体の合成に関しては,種々の条件で還元を行ったものの目的物を得ることはできなかった.この理由として,アルコール中間体の分子内水素結合による3級炭素の還元性の低下が考えられる.TX-2004ホモログの合成に関しては,メチレン側鎖の長さが3及び4のTX-2088及びTX-2112をそれぞれ21%,36%で得た. これら分子設計・合成した化合物のp53阻害活性に関しては,p53 statusの異なる2種類の細胞(p53野生型:SAS/neo, p53変異型:SAS/Trp248)を用いた温熱実験系により評価した.SAS/neoに対し各化合物存在下44℃・20分の温熱処理を行ったところ,コントロールと比較してPFT-αでは30%,PFT-βでは26%,TX-2120では17%の生存率の増加が見られた.この結果より,PFT-αからPFT-βへの環化はp53阻害活性に必須でないことが示唆された.
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Research Products
(6 results)