2003 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療患者の血中癌特異的DNA/RNAの経時的定量による治療感受性の早期判定
Project/Area Number |
15790678
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大村 素子 横浜市立大学, 医学部附属病院, 助手 (70244506)
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Keywords | 分子生物学 / 放射線治療 / 腫瘍 / 定量的PCR法 |
Research Abstract |
本研究では、放射線治療期間中、経時的に、患者の血中癌特異的DNA/RNAを定量し、これらを治療前後のFDG-PETを含む画像評価、臨床的評価と比較する。このことにより、血中癌特異的DNA/RNA量の測定が、腫瘍の放射線感受性を治療開始早期あるいは治療中より予測する新たな判定法となり得るか、を調べることを目的とする。平成15年度は、当大学付属病院放射線科で根治的放射線治療を受けた患者さん9名より同意を頂き、放射線治療期間中に平均週1回、1人あたり6-11検体、計72検体を得た。全例において治療前後のPET検査を施行し、外来にて経過観察中である。血漿RNA/DNAの抽出:正常ボランティアの血液を用いて、血漿中のDNA/RNA抽出法の最適化を行った。各積方法を比較し、ミニカラムを用いる方法が最も簡便であった。抽出したRNAからは逆転写反応を用いてcDNAを作成した。正常群検体、患者検体ともリアルタイムPCR法で、増幅可能な品質のDNA/RNAが得られていることを確認した。リアルタイムPCR法の最適化:各遺伝子発現の測定には検体中のコントロール遺伝子発現(b-actinなど)との比較を行うことが必須である。一方、最近、癌患者は正常群に比べ、血漿中のDNA/RNAが多く、とくにDNAは400bp以上の長いDNA断片が多いことが報告された。これらの絶対量は放射線治療中の腫瘍の崩壊とともに減少する可能性が高い。各遺伝子の発現定量に先立って、DNA量(GAPDH-DNA)、b-actin(100bp/400bp)-DNA、およびコントロール遺伝子であるb-actin-cDNAの量を測定した。培養細胞および正常群検体のDNAおよびcDNAを用いて、リアルタイムPCRの条件を最適化したのち、現在、患者検体を解析中である。また癌特異的RNAに関しても、CEA, SCC等の既知の腫瘍マーカーの解析を開始した。今後はさらに10数例の患者さんのご協力を頂き、検体を収集、解析を行う予定である。
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