2003 Fiscal Year Annual Research Report
色素添加ゼラチン注入法を用いた、ヒト胎児における後腹膜間隙・筋膜の研究
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15790683
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 透 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80297415)
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Keywords | 後腹膜筋隙 / 後腹膜筋膜 / 骨盤内筋膜 / 腎筋膜 |
Research Abstract |
本年度、色素添加ゼラチンを後腹膜間隙に注入した連続切断標本を作製し、18胎の検索を行った。内訳は横断標本12胎、矢状断標本6胎である。当初は本年度中に3軸方向での断面標本の作製を行う予定であったが、横断標本の解析に想定以上の例数が必要となったため、冠状断標本作成分を、横断標本作成に使用した。得られたデータはすべて本科学研究費で購入したデジタル撮影装置にて保管し、次年度の標本検索と合わせ詳細な総合評価を行う。 今年度作成した標本を検索した結果、次の所見が示唆された。左右の後腹膜筋膜で裏打ちされた後腹膜間隙は、上腸間膜動脈周囲の神経叢の尾側で交通する。骨盤内の筋膜で形成された間隙は横隔膜下・前-側腹壁下・鼡径部・大腿部へ進展する。副腎と腎臓の間には立体的な筋膜の移行がある。 また、骨盤内筋膜で裏打ちされた後腹膜間隙と、腎筋膜で裏打ちされた後腹膜間隙からでは、横隔膜下の後腹膜間隙への進展様式が異なる所見が見られた。既存の肉眼および画像解剖では語られなかった所見であり、後腹膜の炎症や腫瘍の進展経路・腫瘍の転移経路を考える上で注目する。この点について特に重点的に次年度の作成標本とあわせ検索する。 さらに、腎門内への後腹膜間隙の進展形式および下大静脈が椎体に接する前後での周辺筋膜の位置関係について得られた画像データを保管し、次年度の検索結果とあわせ評価する。 以上が本年度の研究結果の概要であるが、本研究によって示唆された所見を来年度に、本年度作成できなかった冠状断標本も合わせ、さらに例数を追加し詳細に検討する。
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