2004 Fiscal Year Annual Research Report
FDG腫瘍PETで陽性像を示すアテロームの画像所見
Project/Area Number |
15790689
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Research Institution | Research institute for Brain and Blood Vesseis Akita |
Principal Investigator |
岡根 久美子 (遠藤 久美子) 秋田県立脳血管研究センター(研究局), 放射線医学研究部, 研究員 (80282185)
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Keywords | FDG-PET / CT / MRI / アテローム / 重ね合わせ |
Research Abstract |
背景:近年炎症であることが知られてきた動脈硬化において、18F-FDGの炎症細胞による取り込みを高集積として観察できるか、CT、MRIとPETを用いた重ね合わせ画像で検討する。対象:脳梗塞急性期または慢性期で当院に入院中、頸部または経食道エコー、頸部MRAで頸部または胸部大動脈にアテロームを認めた男性患者15名。平均年齢69歳。うちわけは頚動脈狭窄または閉塞11名。大動脈アテローム2名。心原性塞栓による頚動脈閉塞2名。方法:同週内に患者毎に検査間共通の寝台を作成して頸部MRI、胸部造影CT、およびFDG PETを施行した。CTは東芝製シングルヘリカルCT5mmスライス画像。イオメプロール100mlを2.1ml/秒で注入し、上肢の挙上や呼吸止めをせずに撮像。MRIはGE製Signa1.5T顎関節用コイルまたは頚動脈専用コイルで3mmスライス画像を撮像。Black-Blood法脂肪抑制併用T2強調画像11-20スライス。PETは島津製作所製Headtome VによるEmission-Transmission同時収集を施行。FDG平均投与量は12.2mCi。静注後100-120分後より撮像。PET画像は島津製作所製の画像自動重ね合わせソフトウェアにより形態画像と重ね合わされることにより、解剖学的情報を加味する。検討項目:(1) 動脈硬化の好発部位である主幹動脈分岐部のうち腕頭動脈、左総頚動脈、左鎖骨下動脈を選び径10mmの関心領域をおく。対照として上大静脈にも関心領域をおき、双方の放射能濃度のSUV(standardized uptake values)平均を比較する。(2)頸部MRI上動脈壁にアテロームのない領域と、アテロームのある領域に径10mmの関心領域を設定し、SUVの平均を比較する。(3)胸部造影CT上指摘されたアテロームに径10mmの関心領域を設定しSUVを計測する。解析にはDr. SPSS for Windowsを用いてノンパラメトリック検定を行う。結果:胸部での平均SUVは上大静脈0.96(【minus-plus】0.266)、腕頭動脈1.52(【minus-plus】0.372)、左総頚動脈1.52(【minus-plus】0.394)、左鎖骨下動脈1.20(【minus-plus】0.342)となり、各起始部が有意に高いSUVとなった(それぞれp=0.000、p=0.000、p=0.047)。しかし造影CT上は明らかなアテロームは指摘できなかった。また胸部CTで指摘可能なアテローム9病変のSUVは上大静脈の平均値よりもむしろ低い傾向であった。頚動脈ではアテロームのある頚動脈のSUVが有意に高いSUVを示した(p=0.05)。しかし狭窄が高度なものほど集積が高いとは限らなかった。結論:FDGは動脈硬化の好発する部位で有意に集積していたが、形態上のアテロームの大きさとは関連がみられなかった。形成されて間もない、マクロファージに富むアテロームにFDGが集積することが考えられ、CTやMRIなどで発見される以前の早期病変を描出できる可能性が考えられた。
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