2004 Fiscal Year Annual Research Report
活性型小型肝細胞と骨髄細胞とによる全肝再生置換細胞移植方法の確立
Project/Area Number |
15790696
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
水口 徹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30347174)
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Keywords | 活性型小型肝細胞 / 肝再生 / 肝臓置換 / 細胞移植 / 肝幹細胞 / 脾内類肝組織 |
Research Abstract |
これまでの肝細胞移植では新鮮肝細胞が使用されてきた。小型肝細胞は培養条件下においても増殖可能であり、ヒトからも分離可能であるため将来の肝細胞移植の移植細胞源として有力な候補である。今回、小型肝細胞と新鮮肝細胞を比較し、放射線照射による肝再生置換モデルを使用し、移植効率やアルブミンで評価した蛋白合成機能に関して検討した。50Gyの肝臓放射線照射により新鮮肝細胞を使用したモデルでは部分的な肝再生置換に成功した。また、2/6匹においては完全に近い肝再生置換を観察した。一方、培養小型肝細胞を使用したモデルにおいては、新鮮肝細胞に比べ肝臓での移植細胞は低率であったが、経過中は漸増傾向にあった。脾臓においては、新鮮肝細胞群で早期に移植細胞が漸減するのにくらべ培養小型肝細胞においては移植細胞がとどまる傾向が見られた。とくに、培養小型肝細胞群の移植後3ヶ月での脾臓においては類肝組織や胆管構造の再構築が見られた。そこで、小型肝細胞による肝細胞移植を肝機能補助の観点から検討した。無アルブミンラットを用いた実験を行った。これには、免疫抑制剤を使用し、よりヒト臨床に近いモデルで行った。血清アルブミン値では両群間に統計学的有意差を認めず、12週では2.5mg/dlと改善した。肝臓におけるアルブミンの発現にはmRNAレベルおよび蛋白レベルで両群間に有意差を認めなかったが、脾臓においては小型肝細胞群において有意に発現を認めた。肝臓ではアルブミン陽性細胞を両群において肝細胞に認めたが、新鮮肝細胞群では散在性に見られるのに対して培養小型肝細胞群においては集団塊を形成しコロニー様の構造を呈していた。本実験では移植細胞数が培養小型肝細胞群において1/20と少数であったことを考慮すると培養小型肝細胞は肝再生置換効率では新鮮肝細胞とほぼ同等と考えられた。免疫抑制下においては移植細胞の生着が抑制される傾向にあったが、培養小型肝細胞は新鮮肝細胞と同等にアルブミンを補正した。とくに培養小型肝細胞では脾臓において新鮮肝細胞より長期に生着し、類肝組織を形成することから肝臓同様の細胞機能を発現していることが示唆された。これは、移植細胞が肝臓で再生置換される間に十分な機能補助を脾臓での移植肝細胞が補填できる可能性を示唆している。これらの結果より、培養小型肝細胞移植は肝再生置換効率や肝機能補助の点からも新鮮肝細胞移植と同等と考えられた。
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Research Products
(5 results)