2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞障害により惹起される分子指標を用いた新しい抗癌剤感受性試験
Project/Area Number |
15790703
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
赤津 友佳子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10338189)
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Keywords | 抗癌剤感受性試験 / 遺伝子発現 / 早期判定 |
Research Abstract |
【目的】近年,進行胃癌に対し新規抗癌剤の効果が期待される一方で,これらの抗癌剤に対するnon-responderも存在し,こうした症例を早期発見することが重要である。今回われわれは、癌化学療法の効果予測を、治療早期に予測しうるassayの開発を目的として、in vitro, in vivoの系を用いて検討した。【方法と対象】化学療法開始早期に細胞死に先立ち変化を来たす遺伝子の候補としてgadd153 (DNA damage inducible gene), p21, c-junを採用した。(in vitro)ヒト胃癌細胞株TMK-1,MKN-45,MKN-74を,低濃度〜高濃度5-FU,CDDPにそれぞれ曝露後,経時的に各遺伝子のmessenger RNA (mRNA)の発現を定量した。抗腫瘍効果はMTT assayを用いて判定し、無治療群を対照群とし治療群との比を求めた.(in vivo)ヒト胃癌細胞株TMK-1をnude mouseに皮下移植し腫瘍を作成した後,低濃度〜高濃度5-FU,CDDPを腹腔内投与した。薬剤投与後48時間に皮下腫瘍を回収し,m-RNAを同様に定量した。また、それぞれの薬剤濃度による抗腫瘍効果は薬剤投与後21日目に評価した。【結果】(in vitro)全ての細胞株において,曝露後早期(24時間)と比較し,後期(72時間)で明らかに癌細胞増殖阻害を認めた。高濃度5-FU,CDDPでは,全ての細胞で遺伝子発現を強く認めた。TMK-1においては高濃度5-FUで,gadd153で18.5倍,p21で39.3倍,c-junで2.2倍であった.高濃度CDDPでも同様の結果が得られた。低濃度ではいずれも遺伝子発現は対象群の0.6-1.5倍にとどまった.用量,曝露時間に,遺伝子発現量は比例し,抗腫瘍効果を予測すべくcut off値を算定しえた。(in vivo)in vitroでの実験と同様に、腫瘍増殖抑制を認めた高濃度5-FU,CDDPでは、薬剤投与後48時間でのgadd153,p21,c-junの発現増強を認めた。【結語】化学療法開始後早期の遺伝子発現量は,化学療法の抗腫瘍効果を反映する可能性が示唆された。
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