2003 Fiscal Year Annual Research Report
BRCA1およびBARD1の自己ユビキチン化の生物学的役割
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15790707
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
川本 久紀 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (60308426)
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Keywords | BRCA1 / BARD1 / 自己ユビキチン化 / ユビキチンリガーゼ / 家族性乳癌 / 質量分析計 |
Research Abstract |
BRCA1の自己ユビキチン化部位を同定するため、C末端側を切断した数種類のmyc-tag付きのBRCA1ヒト細胞内発現プラスミドを作成し、BARD1,HA-ubiquitinとともに293T細胞に一過性発現させ、in vivoのBRCA1の自己ユビキチン化を解析した。その結果、N末端222アミノ酸でもBRCA1の自己ユビキチン化が生じ、この中にユビキテン化部位が存在することが明らかとなった。さらに、Lys残基をArg残基に変異させたBRCA1(N222)の変異体を、この部位に存在する17カ所全てのLys残基に対して作成し、自己ユビキチン化が阻害されるか否かを解析したが、自己ユビキチン化が阻害される変異体を得ることはできなかった。このことから、特定のLys残基がユビキチン化されるのではなく、N末端側の複数のLys残基がユビキチン化されることが考えられた。そこで、in vivoで自己ユビキチン化したBRCA1を免疫沈降してトリプシンにて消化し、質量分析計(LC/MS/MS)にてユビキチン化部位の断片の同定を試みたが、現在のところ同定には至っておらず、さらに精度を上げて解析を試みている。 もう一つの研究としてBRCA1-BARD1ユビキチンリガーゼとE2との特異性についての解析を行っている。BRCA1-BARD1はE2としてUbcH5b, H5cとは結合して強い活性を示すが、UbcH7とは結合は同程度に強いが全く活性がないことがわかっている。研究者はUbcH5c, UbcH7の間で配列の異なるいくつかの活性に重要と考えられる部分の変異体を作成し、酵素活性を解析するとともに、ワシントン大学のKlevit博士らとの共同研究として結晶構造解析を行っている。
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