2003 Fiscal Year Annual Research Report
生体吸収性人工血管および培養皮膚を用いた新しい皮膚管型人工食道の関発に関する研究
Project/Area Number |
15790710
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
本山 悟 秋田大学, 医学部, 講師 (60292372)
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Keywords | 人工食道 / 生体吸収性人工血管 / ケラチノサイト / ビーグル犬 / 口腔粘膜 |
Research Abstract |
食道切除後の再建には通常自己の胃、結腸、小腸が用いられている。しかし再建腸管を頸部まで挙上することによる、手術侵襲の拡大、再建腸管の血行の不確実性からくる大きな合併症の発生、臓器犠牲による長期の消化吸収障害は結果的に患者に大きな犠牲を強いている。この再建に関わる問題を解決すべく、簡便かつ臨床使用の実現性が高い人工食道の開発を目指した。これまでの人工食道の開発は食道そのものの再現を目指してきた。しかし食道平滑筋および重層扁平上皮細胞の再生は非常に困難で発育に長時間を要し、食道癌手術に対する臨床応用には時間的な制約など多くの問題点を抱えている。そこでTissue engineeringの技術を用い、生体吸収性人工血管上に培養皮膚を階層性に構築した、新しいタイプの皮膚管型人工食道を作成することとした。 これまでラットを用いた口腔粘膜からのケラチノサイトを分離、この同定を終了し、三次元培養が可能であることを確認した。その結果を踏まえ、ビーグル成犬での実験に移行し、ビーグル成犬の口腔粘膜を麻酔下に少量採取、これを酵素的に処理し、ケラチノサイトを分離、約3週間の培養を行った。ケラチノサイトの発育には時間を要したものの、シート状に重層化するケラチノサイトを確認した。培養したケラチノサイト(自己の頬粘膜細胞)を今度は生体吸収性人工血管上へ培養し、その生着を確認した。 今後、筒状の人工食道を作成し、生体への自家移植に取り組む。
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