2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌特異的発現蛋白HMGA分子を応用した消化器癌の診断・遺伝子治療戦略
Project/Area Number |
15790724
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
阿部 展次 杏林大学, 医学部, 助手 (40266747)
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Keywords | 膵癌 / HMGA / HMGA1 / 遺伝子治療 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
我々は、大腸癌や膵癌などで、転写関連因子であるHigh Mobility Group A1(HMGA1)が癌特異的に過剰発現していることを明らかにしてきた。本年度は、共同で研究を進めているFusco A.らが開発したHMGA1 antisenseを発現させうるvector(Ad-Yas-GFP)を用いて、in vitro、in vivo両実験系において膵癌抑制効果を検討した。 1.Cell lineでのHMGA1発現検討とAd-Yas-GFP感染効果(in vitro):肺癌cell lineであるAsPC1,MIAPACA, Hs766T, BxPC3,Capan2,PSN1,PANC1,CFPACにおいてHMGA1蛋白の発現解析(Western blot)を行った。全種においてHMGA1の過剰発現を認めた。次に、HMGA1の発現量が最も高かったPANC1とHs766T両者にAd-Yas-GFPを作用させ、HMGA1蛋白の発現量を解析した(Western blot)。両者においてHMGA1蛋白量の著明な減少を確認した。また、培養中にAd-Yas-GFPを作用させ、細胞数をカウントしたところ、有意な細胞増殖抑制効果を認めた。さらに、Ad-Yas-GFPを作用させた(96時間後)両cell lineにおいて、FACSを用いて解析したところ、sub-G1 populationの有意な増加を認め、TUNEL assayにおいてそれらの細胞はアポトーシスの状態であることを確認した。 2.Ad-Yas-GFPの腫瘍抑制効果(in vitro):Ad-Yas-GFPを作用させたPANC1をマウスに皮下注射し、30日後にその効果を検討した。コントロールvectorを作用させたPANC1皮下注射群では、全例において腫瘍形成を認めたが(0.7〜0.9cm^3)、Ad-Yas-GFPを作用させた群では腫瘍形成は認められなかった。PSN1においても同様な検討を行ったところ、Ad-Yas-GFPを作用させた群でも腫瘍形成を抑制できなかったが、その腫瘍径はコントロール群に比べ有意に小さかった(1cm^3 vs.3cm^3)。 以上の検討により、HMGA1蛋白合成の抑制をもって膵癌抑制効果が得られる可能性が示唆された。本vector投与は、新しい分子標的治療として有用である可能性が高い。
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Research Products
(1 results)