2003 Fiscal Year Annual Research Report
赤外線スコープを用いた大腸癌センチネルリンパ節の診断と縮小手術への応用
Project/Area Number |
15790730
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
日高 英二 昭和大学, 医学部, 助手 (00360123)
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Keywords | センチネルリンパ節 / 大腸癌 / 赤外線 / 腹腔鏡下手術 |
Research Abstract |
【目的】腹腔鏡補助下大腸切除術での腸管壁への色素の注入法として,生食注入併用色素法を開発し,さらに腹腔鏡赤外光観察システム(オリンパス社製)を用いて,大腸癌のセンチネルリンパ節診断の精度を上げることの可能性を検討した.【対象および方法】対象は腹膜翻転部より口側の大腸癌症例の31例とした.色素注入5分後から約10分間かけて腹腔鏡通常光下と赤外光下に観察し,SNを判定した.色素はindocyanine green(以下,ICG)25mgを蒸留水5mlに溶解したものを使用した.その手順を述べると,術前に行った大腸内視鏡の際に病変近傍においたマーキングクリップを,術中透視により確認した.腹腔鏡下に病変を中心として腸管を腹側に挙上した.経皮的に23Gまたは25Gカテラン針を用いて,約1-3mlの生理食塩水を漿膜下に注入した.この際に生食水が壁内に注入されていることを,注入抵抗,漿膜側の膨隆から確認した.その後,この針を抜かずに,ICG溶解液2.5mlを注入した.これを病変の口側と肛門側の2ケ所に行う.ICGは近赤外線光(805nm付近)に吸収ピークがあるため,赤外線スコープで近赤外線光を照射すると,ICGが注入されたリンパ管,リンパ節は黒く強調して観察された.【結果】センチネルリンパ節同定率は93.5%(29/31),正診率は86.2%(25/29),平均センチネルリンパ節個数は2.9個(0-7個).腹腔鏡赤外光観察に比べ,通常光観察ではセンチネルリンパ節の同定は困難であった.【結論】腹腔鏡補助下大腸切除術において生食注入併用色素法を用いた腹腔鏡赤外光観察によるセンチネルリンパ節判定は簡便で有用であった.しかし,平成16年度以降も対象症例数を増やして,センチネルリンパ節診断による縮小手術が実際に臨床応用可能であるかを検討する必要がある.
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Research Products
(1 results)