2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790736
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
及川 卓一 日本大学, 医学部, 助手 (10360174)
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Keywords | 多段階発癌 / 多中心性発癌 / 早期肝細胞癌 |
Research Abstract |
背景因子を5項目に分け、多段階発癌及び多中心性発癌を組織学的に定義し、その実際の頻度、背景因子との関連について系統的検討をした。対象は、10年間に外科的切除された初発肝細胞癌664例、980結節とした。背景肝は、HBs抗原陽性をB群、HCV抗体陽性をC群、HBs抗原陽性+HCV抗体陽性をBC群、HBs抗原陰性+HCV抗体陰性で肝障害を伴う群をNBNC群、HBs抗原陰性+HCV抗体陰性で正常肝の群をnormal liver群とし合計5項目に分けた。次に、多段階発癌は、早期肝細胞癌あるいは肉眼的及び組織学的に結節の周囲に早期肝細胞癌の領域が存在する結節と定義した。多中心性発癌は、より小さい結節が多段階発癌の定義をみたす症例あるいはおのおのの結節が異なった組織所見を示す症例と定義した。結果は、多段階発癌の頻度は、980結節中367結節(37.7%)に認めた。背景因子別に見ると、C群が46%と高頻度に認められ、B群の19.1%と比較すると有意に高率であった(P<0.0001)。一方、BC群、NBNC群を見てみるとBC群はC群に近い頻度であるのに対し、NBNC群はB群に近い頻度であった。多中心性発生の頻度は、664症例中177症例(26.7%)に認められた。背景因子別に見ると、C群は34.1%と高頻度に認められ、B群の16.5%と比較すると有意に高率であった(P=0.0046)。一方、BC群、NBNC群を見てみるとBC群はC群に近い頻度であるのに対し、NBNC群はB群に近い頻度であった。Normal liver群は、ターナー症候群であった1例を除いては多中心性発癌を認めなかった。それぞれの背景肝に関しての進行度具合は、慢性肝炎、肝硬変の頻度に差がなく、多中心性発癌の違いは背景肝の進行度の違いによるものではないと考えた。
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