2003 Fiscal Year Annual Research Report
I型樹状細胞(DC1)による肺癌樹状細胞ワクチン療法
Project/Area Number |
15790743
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
伊藤 則正 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (10346356)
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Keywords | 樹状細胞 / 免疫療法 / 肺癌 / DC1 / Th1 / Th2 |
Research Abstract |
1.肺癌患者末梢血由来樹状細胞と腫瘍細胞の融合細胞の作成 院内倫理委員会の承認を得て、肺癌手術患者の血液50mlと腫瘍組識を採取した。単核球分画から単球を分離し、IL-4とGM-CSFを使用して通常の樹状細胞(DC)、IL-4とGM-CSFとIFN-γを使用してI型樹状細胞(DC1)をそれぞれ1×10^5ずつ誘導した。切除した腫瘍組織から腫瘍細胞を採取したところ、1×10^<4-6>個の腫瘍細胞を採取できた。今後はポリエチレングリコールで融合樹状細胞を作成しCTLの誘導能を解析する。 2.肺癌患者末梢血におけるTh1/Th2バランスの予後に与える影響 次にDC1によって誘導されるTh1,Tc1の活性化が癌患者に及ぼす影響を調べるために、肺癌患者の末梢血のTh1,Th2,Tc1,Tc2細胞の割合を解析し、予後との関係を検討した。その結果、末梢血のTh1/Th2の比が高い、すなわちTh1優位の患者はむしろTh2優位の患者と比較して、予後が不良であった。この傾向は特に進行肺癌症例において顕著であった。この理由として、進行肺癌症例は末梢血中に腫瘍由来の物質が出現している可能性がより高く、それに対して患者のT細胞が反応して活性化を受けたTh1細胞が増加しているためであると考えられた。腫瘍に対する自然の免疫系としてTh1の活性化は重要であり、これを活性化するDC1による免疫療法の有用性が示唆された。なお、この研究成果は2003年胸部外科学会学術集会、2004年米国癌生物治療学会地方会、2004年日本外科学会定期学術集会にて発表を行なった。さらに雑誌Lung Cancerに投稿中である。
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