2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管攣縮に於けるリゾフォスフォリピッド受容体を介したシグナル伝達機構の検討
Project/Area Number |
15790760
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
登坂 雅彦 群馬大学, 医学部, 助手 (40323357)
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Keywords | Sphingosine-1-phosphate / Vascular contraction / Rho kinase / Ca2+sensitization / Cerebral vasospasm / Subarachnoid hemorrhage |
Research Abstract |
我々は血小板からその凝固過程で放出されるsphingosine-1-phosphate(以下S1P)が、平滑筋収縮に於いてカルシウム感受性に深く関わりのあるRho/Rho kinase pathwayの上流となり、脳血管攣縮の候補原因物質であることを報告した。今回、まず我々はS1Pによって生じる脳血管の収縮について、カルシウム感受性亢進機転を含むその特徴について検討を行った。細胞内カルシウム-血管収縮、同時測定法、ミオシンリン酸化測定法を行った。犬脳血管短冊状標本を用いた張力-細胞内カルシウム同時測定法によるin vitroの収縮実験に於いて、10micro MのS1Pは脳血管を収縮させた。この時、細胞内カルシウムレベルは収縮に先行して上昇したもののその後、ほぼ定常状態となり収縮はそれに比して上昇した。遅れて生じた収縮はカルシウム感受性が関与した収縮であることが疑われた。10micro MのS1Pで収縮させた血管を収縮開始15分後、瞬時に凍結しミオシンのリン酸化程度をウエスタンブロットを用いて観察すると、ミオシンのリン酸化レベルは上昇していた。また選択的Rho-kinase inhibitorであるY-27632(10μmol/L)を15分前に前投薬した後、S1Pを同様に投与したところ、S1Pによる収縮はほぼ完全に抑制され、この時のミオシンのリン酸化程度も減少した。従ってS1Pによる脳血管の収縮はミオシンのリン酸化を介したもので、このリン酸化はRho-kinaseを介したものであることが考えられた。S1Pによる平滑筋でのカルシウム感受性亢進機転が脳血管攣縮の発生と病態に関与していることが疑われた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 登坂 雅彦, 他: "スフィンゴシン-1-リン酸とカルシウム感受性"脳卒中の外科. 31(増刊号). 34-37 (2003)
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[Publications] Masahiko Tosaka, et al.: "Sphingosine-1-phosphate-induced arterial contraction and Ca2+-sensitization"Proceedings of 8th International Conference of Cerebal Vasospasm. (In press). (2003)
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[Publications] Keishi Horiguchi, Masahiko Tosaka, et al.: "Epigenetic inactivation of RASSF1A candidate tumor suppressor gene at 3p21.3 in brain tumors"Oncogene. 22. 7862-7865 (2003)
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[Publications] Takashi Watanabe, Masahiko Tosaka, et al.: "High incidence and spontaneous resolution of mastoid effusion after craniotomy on early postoperative magnetic resonance images."Neuroradiology. 45. 482-488 (2003)
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[Publications] Masahiko Tosaka, et al.: "Spinal epidural metastasis from pineal germinoma"Acta Neurochir (Wien). 145. 1305-1310 (2003)