2003 Fiscal Year Annual Research Report
悪性グリオーマにおけるラミニン-8アンチセンスによる腫瘍血管新生抑制に関する研究
Project/Area Number |
15790770
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
原田 広信 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (20335897)
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Keywords | グリオーマ / 腫瘍血管新生 / ラミニン-8 / アンチセンス |
Research Abstract |
悪性グリオーマではラミニン-8が腫瘍血管周囲に高発現しており、グリオーマの血管新生に重要な役割を果たしているものと考えられ、ラミニン-8をターゲットとした新たな治療戦略の展開が期待される。本研究では、ラミニン-8のグリオーマにおける発現様式及び血管新生との関連性を検討し、アンチセンスを用いたラミニン-8発現抑制による腫瘍血管新生、腫瘍増殖への影響について検討した。 ヒトグリオーマ組織においてラミニン-8(α-4鎖)は腫瘍血管基底膜に高発現しており、low-gradeグリオーマに比べhigh-gradeグリオーマで有意に発現が亢進しており、ラミニンα-4鎖発現強度と腫瘍血管密度との間には強い相関がみられた(r=0.71、p<0.001)。 次に、ラミニンα-4鎖に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(モルフォリノオリゴ、26Mer)を作成し、グリオーマ細胞株にEPEI法で導入した。α-4アンチセンス導入により、グリオーマ細胞の増殖能には影響なくα-4鎖蛋白発現は完全に抑制されたが、新生血管は形成された。新生血管周囲には出血がみられ、電子顕微鏡にて血管基底膜の形成不全が観察された。In vivo実験では、アンチセンスによるラミニンα-4鎖発現抑制により新生血管に沿うグリオーマ細胞の進展は完全に抑制された。 今後、ヌードマウス皮下腫瘍及び脳内移植モデルを用いて、α-4アンチセンスによる血管新生抑制による抗腫瘍効果について検討する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Harada H, Nakagawa K, Ohnishi T, et al.: "Introduction of wild-type p53 enhances thrombospondin-1 expression in human glioma cells."Cancer Letter. 191. 109-119 (2003)