2003 Fiscal Year Annual Research Report
p53遺伝子導入を併用した悪性グリオーマの集学的治療
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15790771
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
庄野 禎久 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (00346793)
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Keywords | 悪性グリオーマ / p53 / 遺伝子治療 / 化学療法 / 放射線療法 / 集学的治療 / リン酸化 / アポトーシス |
Research Abstract |
p53発現アデノウイルスによるp53遺伝子導入後、p53蛋白質の強発現は約24時間後から認められ、48時間から72時間でピークに達し、その後も約1週間、強発現した状態が続いている。p53遺伝子導入後あるいは導入前のどのタイミングで放射線照射あるいは抗癌剤投与を行うのが最も効果的なcombine therapyになるかをin vitroで検討した。細胞は培養グリオーマ細胞株(U87MG,D54MG)を用い、細胞のアポトーシスをflow cytometry(Annexin V法)で検討した。放射線照射は遺伝子導入後、強制発現させたp53がピークに達する時期(48時間後)に行う方法が最も細胞のアポトーシスを誘導した。細胞周期非特異的に作用する抗癌剤(シスプラチンやBCNU)でも同様に、遺伝子導入後に抗癌剤を投与する方法が効果的であった。一方、細胞周期(S期)特異的に作用するトポイソメラーゼI阻害剤(SN-38)ではp53遺伝子導入前に薬剤を投与したほうが、遺伝子導入後に投与するよりもより細胞のアポトーシスを誘導した。p53遺伝子導入を先に行うと細胞周期がG1で停止するためにS期特異的に作用するSN-38のアポトーシス誘導効果を阻害している可能性が考えられた。同時に強制発現されたp53蛋白質のセリン残基のリン酸化をウエスタンブロット法で検討すると、誘導されるアポトーシスの割合に比例してセリン15、20、46のリン酸化の上昇が認められた。現在、これらのセリン残基をアラニンに変えたプラスミドを使って、p53のどの部位のリン酸化が放射線照射や抗がん剤とのconbine therapyに重要かを検討している。
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