2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜脂質調節による原発性悪性脳腫瘍の増殖・浸潤の制御法の確立
Project/Area Number |
15790775
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小原 壮一 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70359975)
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Keywords | gliblastoma / U-251 / PI 3-Kinase / Integrin-linked kinase / RKB / AKt-Ser-473 / PTEN / NS-398 / リン脂質 |
Research Abstract |
これまでの研究で、スタチン製剤がglioblastoma細胞株U-251 MGに対し腫瘍細胞の接着、浸潤を抑制することを明らかにしてきた。今回、この抗腫瘍効果におけるglioblastomaの分子生物学的標的を、細胞膜レセプターを介する脂溶性シグナルやリン脂質セカンドメッセンジャー、脂質メディエーターなどを中心に詳しく検討した。その中でも、今回特に注目したのが、PI3-KinaseのセカンドメッセンジャーであるIntegrin-linkedkinase(ILK)である。ILKは、PI 3-kinase-dependent kinase-2(PDK-2)とも呼ばれ、PKB/Akt-Ser-473をリン酸化し活性化する働きを持つ。我々は、human glioblastomaにおいてIntegrin linked kinase(ILK)の細胞内局在、その発現とPKB/Akt activityとの関係、PTEN tumor suppressor geneとの関係などについて検討した。ILKの発現は正常脳においてはほとんど見られないが、gliomaでは発現が亢進しており、細胞膜表面に局在していた。悪性度の高いgliomaほど強発現する傾向があった。ILKが強発現している細胞では、PKB/Akt-Ser-473のリン酸化が亢進しており、アデノウイルスベクターによるPTEN tumor suppressor geneのトランスフェクションでPKB/Akt-Ser-473のリン酸化とILK活性が同時に抑制された。U-251 MG細胞株におけるILKの細胞膜局在は、PTENの強制発現により細胞質内に変化した。ILKの活性を抑制するCox-2 inhibitor NS-398で処理するとPKB/Akt-Ser-473のリン酸化が抑制され、cell viabilityの明らかな低下をみとめた。以上により、ILKはHuman gliomaの腫瘍形成における重要な役割をもち、分子生物学的治療のターゲットの一つになりうる可能性があることが分かった。これら成果は、現在英文誌に投稿中である。今後は、この成果をもとに、細胞膜脂質調節を行う薬剤が、腫瘍細胞の増殖、'接着、浸潤といった機能にどのような影響を与えるかを細胞レベルで検討し、さらに、これまでに臨床応用されている放射線治療や化学療法との併用効果についても検討し、より効果的な脳腫瘍治療をめざす。
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Research Products
(1 results)