2004 Fiscal Year Annual Research Report
ビデオマイクロスコピーによる破骨細胞の酸分泌機能解析
Project/Area Number |
15790788
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
星野 裕信 国立大学法人浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (70293636)
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Keywords | 破骨細胞 / ビデオマイクロスコピー / 微分干渉顕微鏡 / 酸分泌 / リン酸カルシウム |
Research Abstract |
今回の研究により明視野顕微鏡観察下で破骨細胞が十分な酸分泌活性を示すような培養条件を確立した。酸分泌機能を可視化するために、リン酸カルシウムをコートしたカバーガラス上での培養を行ったところ、活発に骨吸収を行っている破骨細胞内では、核は偏在し、酸分泌を示唆すると思われる多数の空胞が出現することを確認できた。またビデオマイクロスコピーの手法を用いることにより、破骨細胞がリン酸カルシウムを吸収する様子を高解像度で動画記録できた。それにより破骨細胞の骨吸収能における新しい知見が得られた。方法は、2-8日齢の日本白色家兎の四肢長管骨より単離した成熟破骨細胞をリン酸カルシウムをコートしたカバーガラス上で培養し、100倍対物レンズを使用したビデオ強化型微分干渉顕微鏡にて、タイムラプス撮影(3秒間隔、60分間)を行った。これが破骨細胞であることは免疫染色法により確認した。その結果、破骨細胞の細胞底面の波状縁と考えられる突起が活発に動き、徐々に吸収窩を形成する様子が観察され、また細胞辺縁部の偽足様突起がコートされたリン酸カルシウムを機械的に破壊する様子が記録できた。これを画像解析することにより、破骨細胞活性を定量化する手法を確立できた。これまで破骨細胞による骨のミネラル成分の溶解は酸による溶解(化学的骨破壊)のみ論じられてきたが、波状縁または偽足様突起による機械的作用(物理的骨破壊)も関与していることが推察された。また、破骨細胞の活性を高めるためにヒスタミン刺激を行った結果、破骨細胞がより活発に吸収窩を形成する様子が観察され、ヒスタミン非刺激群と比較して、有意に吸収窩形成速度が上昇していた。この手法を用いれば、骨吸収に影響を与える薬物の影響を分子レベルでリアルタイムに定量評価可能になると思われる。
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