2003 Fiscal Year Annual Research Report
痛覚過敏症における中枢及び末梢組織でのサイトカインバランスの役割と遺伝子治療
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15790825
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
坂野 英俊 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (90347469)
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Keywords | 炎症性疼痛 / 神経原性疼痛 / サイトカインバランス / 痛覚過敏症 |
Research Abstract |
痛覚過敏症において種々の炎症性細胞から放出されるサイトカイン(特に炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインのバランス)が重要な役割を果たす事は広く知られている。ラットを用いた実験にてサイトカインバランスが慢性疼痛に及ぼす影響を調べる為、一連のサイトカイン誘導が起こる坐骨神経絞扼モデル(神経原性疼痛モデル)、又はカラゲニン及びフロイントの完全アジュバント足底注入モデル(炎症性痛覚過敏モデル)を作成した。侵害熱刺激に対する逃避反応潜時又は足底注入モデルにおいては足底の局所浮腫を定量化して炎症の指標とした。仮説の通り、これらのモデルにおいて局所組織、血中、髄液中の炎症性サイトカイン(IL6,IL8)が処置後約6時間後より上昇していることが、ELISA法及び免疫染色法にて証明された。また、フローサイトメトリー法を用いてCD11b陽性細胞においてIL6,IL8の発現率が、CD4陽性細胞においてIFN-gammaの発現率が上昇している事が分かった。m-RNAレベルにおいても約2時間後より炎症性サイトカインが上昇していることがreal time PCR法にて証明された。次にリコンビナント抗炎症性サイトカイン投与により、この痛覚過敏症が軽減されるとの仮説の元、実験を行った。坐骨神経絞扼、又はカラゲニン及びフロイントの完全アジュバント足底注入前日にIL10尾静脈内投与により炎症性サイトカインの上昇が軽減することにより炎症性疼痛及び、神経原性疼痛が抑制される事を蛋白レベルの発現においてはELISA及び免疫染色法にて、m-RNAレベルにおいてはreal time PCR法にて明らかにした。次年度においては遺伝子治療に応用する予定である。
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