2004 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔薬の脳保護作用-ミクログリア機能、特にATP受容体への作用からの検討
Project/Area Number |
15790827
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森 隆 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00336786)
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Keywords | 全身麻酔薬 / ミクログリア / プリン受容体 / P2X受容体 / P2Y受容体 / 局所麻酔薬 |
Research Abstract |
中枢神経系のマクロファージであるミクログリアは虚血、炎症、外傷などの病理学的状態において貧食やサイトカイン放出などの免疫修飾作用を持つ。傷害細胞や神経終末から放出されるATPにより活性化される受容体(P2X, P2Y受容体)は様々な病態で重要なシグナリングの役割を果たしていると考えられている。平成15年度、16年度の研究で、ミクログリアで主要なイオンチャネル型ATP受容体のP2X7受容体の活動に対して、吸入麻酔薬は影響なく、静脈麻酔薬(ケタミン、チオペンタール、プロポフォール)は増強作用を持つことがわかった。 代謝型ATP受容体のP2Y受容体はミクログリアの走化性、分裂などに関係している。P2Y受容体はATPの刺激により細胞内Ca^<2+>ストアからCa^<2+>を放出させるため、P2Y受容体の活動はFura-2蛍光色素法を用いてCa^<2+>応答測定から評価した。吸入麻酔薬(セボフルラン、イソフルラン)、ケタミン、チオペンタールは影響しなかったが、プロポフォールで増強を認めた。以上から、静脈麻酔薬とくにプロポフォールはP2X7受容体、P2Y受容体増強の両方でミクログリアの免疫修飾作用を増強することが示唆された。 またミクログリアでは比較的低濃度のATPで活性化される電流が観察された。P2X7受容体の特異的なブロッカーであるoxidized-ATP投与でブロックされず、ATPの繰り返し投与によって脱感作を受けること、そしてTNP-ATPでブロックされたことから、P2X4受容体を介する電流と考えられた。ミクログリアのP2X4受容体は慢性疼痛の発生機序に関係していることが示されており、電気生理学的性質や薬理学的性質の解明、安定した記録を得る方法について、今後検討が必要と考えられた。
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Research Products
(2 results)