2003 Fiscal Year Annual Research Report
先取り鎮痛のシナップス、細胞内レベルでの作用機序解明と麻酔法への応用
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15790836
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
庄司 和広 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00277039)
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Keywords | 先取り鎮痛 / 興奮性神経活動 / 脊髄後角 |
Research Abstract |
幼若ラットを用い、侵害刺激の受容、統合、投射のメカニズムを解析できる三叉神経脊髄核を含んだ下部脳幹水平スライスを作成した。三叉神経管脊髄路核は顔面からの1次求心性ニューロンが終末する部位で、脊髄後角と同様の役割を果たしている。このスライスで2次求心性ニューロンの興奮性、抑制性シナプス入力をパッチクランプ法を用いて測定記録した。 ピクロトキシン、ストリキニーネ存在下で、コントロール(C)群として三叉神経に電気刺激を加えた後局所麻酔を投与した群と、先取り鎮痛(P)群として局所麻酔薬を投与した後電気刺激を加えた群とをそれぞれ分けて、興奮性シナプス入力がいかに変化するかを測定した。しかし両群間に有意な差がみられなかった。 これについての考察として、ピクロトキシン、ストリキニーネ存在下に測定した興奮性の神経活動は局所麻酔薬により活動電位依存性の神経活動が喪失してしまうために、コントロール(C)群、先取り鎮痛(P)群では、両群間の差を捕らえることができなかったと考えられる。 今後は、発痛物質として電気刺激以外のサブスタンスPやカプサイシンなどを使用するか、先取り鎮痛を作る薬剤を局所麻酔薬以外のもの、例えばネオスチグミンやアデノシンで作り出すか、活動電位依存性ではない興奮性神経活動をみるか、もしくは抑制性の神経活動を見るかを検討中である。その結果をふまえて、三叉神経脊髄核を含む下部脳幹スライスを同様の条件下にてインキュベイションした後、凍結してMAPK活性、cGMP産生を測定して、先取り鎮痛の細胞内作用機序を解明したい。
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