2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害ラットを用いた橋排尿中枢ニューロンの薬理学的および分子生物学的研究
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15790858
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山尾 裕 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (90340520)
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Keywords | ラット / 橋排尿中枢 / 排尿障害治療薬 / 脳血管障害 / ニューロン / 抗コリン剤 / 睡眠 |
Research Abstract |
脳卒中は本邦死因の第二位であり,軽度なものを入れると脳血管障害は高齢者ではほぼ必発であり、高齢者の排尿障害の診察には,その原因が脳血管障害である可能性を常に念頭におく必要がある。また,脳血管障害患者における排尿障害は多様な症状を呈し、治療に難渋することは少なくない。そこでこの様な病的状態において橋排尿中枢への尿意伝達や尿意抑制の変化をニューロンレベルで検討し、新しい排尿障害治療薬を開発することを最終目標とした。 ラット橋排尿中枢は非常に小さく,かつ小脳上方より3次元マニュプレーターにてガラス管電極を穿刺してゆくため、同部を的確に穿刺するのは非常に困難であった。しかし,抗コリン剤,抗利尿ホルモンを投与すると橋排尿中枢においてある種のニューロン活動が上昇し、膀胱収縮が抑制された。抗うつ剤を投与すると橋排尿中枢ニューロン活動は消失し、膀胱収縮が抑制された。 以上のように過活動膀胱の治療に対して日常診療で用いられている,抗コリン剤,抗うつ剤は末梢では膀胱活動を抑制するが,橋排尿中枢に対しては異なった作用を示す可能性が本研究の過程において明らかとなった。さらに麻酔の深度により膀胱の反応性が大きく変わるという知見も実験において数多く得ることができ,今後、麻酔深度の変化を"睡眠の深さ"のモデルとし、睡眠サイクルと排尿機構の関係を解明できる可能性が示唆された。 さらにラット橋排尿中枢にガラス管電極を刺入し膀胱収縮時や弛緩時に発火するニューロン活動の記録および局在の特定をほぼ明確にすることができ,現在、橋排尿中枢における神経伝達物質を特定するための基礎研究にとりかかっている。それによって,橋排尿中枢に直接作用する新薬開発等も可能になるものと思われた。
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