2004 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロン断層(PET)検査の卵巣癌診療への導入に向けた細胞病理学的研究
Project/Area Number |
15790881
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
黒川 哲司 福井大学, 医学部, 助手 (60334835)
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Keywords | PET / GLUT-1 / 卵巣癌 / 悪性度 |
Research Abstract |
【目的】腫瘍細胞で糖代謝が亢進する事実を利用したポジトロン断層(PET)検査が、各種悪性腫瘍の診断に活用されている。申請者らは、糖代謝薬剤の^<18>F-fluorodeoxyglucose(FDG)を用いたPET検査を、卵巣癌の術前・再発診断に臨床応用することを検討してきた。その結果、FDGは卵巣癌に集積するがその程度は症例毎に異なり、卵巣癌の13%に集積が認められないこと、逆に良性腫瘍にも16%に集積が認められることを見いだした。今回申請者は、FDGの取り込みが卵巣腫瘍のどのような細胞病理学的性質を反映するのかを明らかにするため本研究を行った。 【対象と方法】臨床的に卵巣癌を疑い、術前にFDG-PET検査を施行した後手術を行なった17例(臨床進行期III期6例、II期2例、I期5例、境界悪性2例、良性2例)を対象とし、臨床進行期、腫瘍細胞の分化度、増殖力、糖代謝とFDGの取り込みに相関があるかを調べた。 【結果】(i)上皮性卵巣腫瘍において、FDGの集積は、良性腫瘍に比べ悪性腫瘍に高い集積を示した。(ii)卵巣癌において、Glut-1発現、MIB-1陽性細胞数、及び細胞分化度は、FDGの集積と有意な正の相関を示した(いずれもP<0.05)。(iii)logistic回帰分析により、FDGの集積はGlut-1の発現に最も強い相関を示した。 【考察】Glut-1の発現が強い卵巣癌は、明らかに術後の無再発生存期間が短いと報告されている。申請者は今回の研究を基に、Glut-1を強発現する卵巣癌の不良な予後は、腫瘍細胞の増殖力、及び腫瘍細胞の分化度を反映していると考察している。 【結論】以上のように本研究は、卵巣癌に対する術前のFDG-PET検査が、従来までの形態画像とは異なり、非侵襲性に腫瘍細胞の活動性を画像化できる検査であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)